5月 理事長通信 <増刊号>

合掌

『善悪の判断、自律、自由と責任▽正直、誠実▽節度、節制▽個性の伸長▽希望と勇気、努力と強い意志▽真理の探究▽親切、思いやり▽感謝▽礼儀▽友情、信頼▽相互理解、寛容▽規則の尊重▽公正、公平、社会正義▽勤労、公共の精神▽家族愛、家庭生活の充実▽よりよい学校生活、集団生活の充実▽伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度▽国際理解、国際親善▽生命の尊さ▽自然愛護▽感動、畏敬の念▽よりよく生きる喜び』

これは、学習指導要領が定める道徳の授業で行う価値についてあらわした内容です。小中学校の「道徳の時間」は1958年にスタートし、国語や算数などの教科とは異なる「教科外の活動」と位置付けられてきましたが、2006年に第1次安倍政権によって教科化が打ち出された時には文科相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)が「心の中を評価することになる」と難色を示し、見送られました。しかし、2012年末に発足した第2次安倍政権は、再び教科化を検討。2014年にメンバーを入れ替えた中教審が教科への「格上げ」を求める答申を出して、実現した経緯があります。小学校では2018年春、中学校では2019年春から授業が始まりますが、教科化に伴って子どもの心の内面を教員が評価することになり、国による価値観の統制・画一化や、成績として評価されるために子どもたちが本音と建前を使い分けせざるをえなくなることも考えられ、真の道徳性を損なうのではないかとの懸念が指摘されています。これまでの教科外活動としての「道徳の時間」では検定を受けない「副読本」や教員が独自に作った教材が利用されてきたということですが、このほど教科化に伴い初めての教科書検定が実施されました。「パン屋」が「和菓子屋」に。“国や郷土を愛する態度”という項目に照らして扱いが足りないとの文部科学省の意見によって出版社が書き替えたという報道は大きな話題にもなりました。政府の「教育勅語」の教材容認論と合わせてますます言論統制の危険性が危惧されているところです。「教育勅語」が問題とされる核心部分と同様に戦前の国家主義と結びついたといわれる過剰な道徳主義は戦後その反動で後退し、社会環境の変化もあって、逆に最近では眉をひそめるような傍若無人な行動をよく見かけます。道徳教科化の発端となった数年前の大津市の中学校で起きたいじめ自殺問題、福島第一原発事故に起因するいじめも後を絶ちませんが、特に学校のような集団生活には最低限の規律や秩序への同調、自己抑制、目上の者に対する礼節等々は不可欠なものです。どう身につけさせるのかを考えた時、教科化することで全て解決できるものではないように思います。道徳的な感覚は、日常生活の中で、具体的な場面で、状況に応じた経験でしか身につかないのではないでしょうか?少林寺拳法が目指す人づくりとはそこにあるように思います。来年から始まる道徳の教科化。学校での授業内容と我々が道場で指導する価値観や目指すところに齟齬を生じさせないことが大きな課題となりそうです。

さて、ゴールデン・ウィーク真っ只中の5月1日(月)、この地方における少林寺拳法の布教・普及の先駆者であった高橋法昇先生(前名法道院長・元愛知県連盟理事長)が逝去されました。享年82歳でした。高橋先生は1953年の入門で、62年に小牧航空隊支部、翌63年に東海地方最初の道院として岡崎道院を設立され、以降も愛知県下は言うに及ばず近隣県、そして大学少林寺拳法部の設立にも大きな影響力を発揮されました。文字通り草分け的な存在感を十分に果たされた先生の逝去はこの地方における少林寺拳法の歴史にとっても大きな節目となりました。

ゴールデン・ウィーク最終日の5月7日(日)、愛知県武道館において創始70周年記念の技術研修会を開催しました。講師は新井庸弘先生(前一般財団少林寺拳法連盟会長)、参加者は105名で3時間半にわたる技術指導と1時間の講話をしていただきましたが、参加者からは大満足の感想(アンケート)を寄せていただくことができました。前日の来名時から新井先生に身近に接してみて、あらためて感じたことは”ひたむきさ“と”思いやりの深さ“でした。研修会当日の朝も会場到着後、着替えられてから一時間近くかけてのウォーミングアップと基本動作の確認、持てるものを全てさらけ出しての指導方法、参加者全てに声をかけ、手を握り、アドバイスをされたのではないかと思うほど精力的に動き回られる小柄な姿を時には見失ってしまうほどでした。あちらでもこちらでも先生を取り巻く輪ができ、笑いがあり、驚きの声が上がる。何とも温かい人柄を感じずにはおれませんでした。あっという間に過ぎたように感じられた一日。閉会式での参加者の満足げな表情が印象的でした。最後まで、参加者の要望に応じて写真撮影や書籍へのサインに応じられる姿からは先生ご自身の充実感も感じ取ることができました。参加された全ての皆さん、大変お疲れ様でした。そして、貴重な時間を同じ思いをもって共有できたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。

 今回の様子を早速事務局が県連サイトにアップしました。ご覧ください。

 

※少林寺拳法“グループ愛知”ポータルサイト構築計画に伴い以下のサイトが立上っています。

 

(愛知県連盟サイト:http://shorinji-aichi.jp/wp/kenrenにて紹介)

  ■11支部サイト掲載(スポーツ少年団・大学・実業団)

 

(愛知県教区サイト:http://shorinji-aichi.jp/wp/kyoukuにて紹介)

   ■54道院サイト掲載

再拝

2017 年 5月 15日

愛知県連盟理事長 多月 文博




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