本日も、泉田市民館での修練。春の訪れを感じさせる陽気の中、鍛錬に励みます。
今日は、1月の昇級試験を受験した面々に、合格証書と帯の贈呈をする予定の日。ただ少年六級に合格した大府市在住のH君が、「家族旅行の為」に欠席でした。実際は、H君が住んでいる地区の子供会の卒業行事が、コロナの影響で中止になり、この2年間学校行事やプールでの授業が全く無かった子供達を不憫に思ったH君のお父さんが、長野県白馬村まで泊りでのスキーに連れて行っているとの事で。他所の子の心情も含めて考慮して、自身の休日をやり繰りする事は、なかなか出来る事ではないなと、感嘆した次第です。
そのH君も含めて、3月に少年六級を受験する予定のA君・Y君・Wちゃんに、「天地拳第一系・相対」を伝える予定でしたが、昇級試験に向けての学科宿題の第一次の提出期限である本日に、A君だけほとんど書いて来ない状態で参座しました。先々週・先週と、2週続けて期限が今日である事と、その為には1日どのくらいのペースでこなさないといけないかを3人には説明したのですが、結局は何もして来なかったA君に、「今日は練習やらなくて良いわ。読本の丸写しで良いから、提出期限の今日、必ず提出しろ」と、机と椅子を用意させて書かせます。
と言う事で、A君以外のメンバーで「天地拳第一系・相対」を練習します。まずは全員で単演を反復し、間合いを開けての相対に移行。それらを踏まえて再度単演を行い、更に間合いを近付けての相対へと進めました。そもそもの単演のレベルが今一つの状態ではあったので、相対のみを長く続ける事はしませんでしたが、交互に取り組む事で、単演の動きの意味が理解出来たのか、相手をイメージする事や当身の位置・角度で、進歩が見られた事は一つ発見でした。
学科・法話の時間では、少年三級に合格したH君・少年五級に合格したY君に合格証書を授与し、それぞれに「当日の感想」や「皆への御礼やアドバイス」を述べて貰いました。特に、刈谷北道院のただ一人の茶帯と成るH君は、技術レベルだけでなく、「良い先輩として、何をすれば良いか」と言う事を繰り返し伝えていますので、コメントだけでなく普段の行動でも成長が見られます。先日の「成果発表会」を観に来て下さった学校の担任の先生も、「彼に頼りっきりでして」と笑顔で言って下さっていた様に、日常に良い影響を及ぼす修行に成っている様で、嬉しい事です。
先週、短い時間ながら見学・体験に来てくれた小1男子のA君が、15時過ぎにお父さん・お母さんに連れられて来てくれました。今日は合掌礼等の作法も少し伝えておこうかと思い、易筋行に入る前に皆で「自己紹介」をしました。同じ学校に通う同学年のМ君は今日体調不良で休みでしたが、学科宿題の途中だったA君も一旦輪に加え、車座に成って皆で挨拶します。じっとして話を聞いたり、相手と目線を合わす事があまり得意では無いA君ですが、自分の番が来た時は、出来るだけ大きな声を出そうとしてくれていますので、可能性も感じます。
体験のA君にも混じって貰って、少しゆっくり目のペースで鎮魂行を行います。周りに立った「先輩達」からも、「一緒に大きな声を出そう」と言う雰囲気が感じられて、なかなか良い空気で進みました。また瞑目の時間では、A君には目を開けて貰ってその様子を観て貰い、打棒を打つ時も「この音に負けない様に、気合いを出してみて」と伝えてやってみますと、少しでも気合いを出そうとする姿勢が見られます。また、見学してみえた御両親も、他の人の出す静寂からの気合いに、驚かれている様子が伺えました。
自由練習では、元々は「リアル自由練習」として、あみだくじで決めた相手と、やる内容を自分達で決めて、自分達で意識して鍛錬する時間を取る予定でしたが、A君の為に先週の復習としての逆突・逆蹴の反復と、そこに蟹足を足して「転身蹴」が出来る下地を準備します。その後、学科宿題を3時間掛けて書き上げたA君に、やるべき事や約束を聞いただけで覚えられないなら、メモをしてでも必ず取り組む事と、自分の出来る事すら満足に取り組めていない現状と、出来る事はまずきっちりやり切る事を伝え、輪に加えて全員であみだくじをします。
体験のA君に当たった人には、やる内容を指定してそれに取り組んで貰いましたが、それ以外の人達には自分達で何をやるかを決めて貰った「リアル自由練習」。総じて意識が高まった分、「しっかりやろう」と言う姿勢が見られましたが、「やらない人」はどんな練習をしても然程変わらないもので。何かをもう一工夫すれば、もう少し良くなる可能性も感じますし、飽きて来たり上手く進んでいない組合せになった時に、どう対処するかを考慮しておく必要性も感じます。
途中、集中力を欠いてダラダラし始めた我が子を観て、イラ付き始めたA君のお父さんに、「頑張ってる所を見て、褒めてあげて」と諭すお母さんの姿もチラチラ見ながら、果たしてこの空間を「自分の息子を伸ばしてくれる場」と思うか、「締まりの無い、ダラダラした場」と思うかの空気も探ります。それらも踏まえて、最後の気合い出しは、A君は一度もやっていない開足中段構からの上段突を、簡単に伝えた状態でやってみました。最後が締まると、何故かしっかりやったような気に成れるもので。その勘違いにすがってはいけませんが、その日その時を良い状態で締めくくる事も大事にして、次の機会に備えたいと思い、帰路に着きました。