本日は、専有道場からのスタート。11月中旬とは思えない汗ばむ様な陽気の中、皆が集まります。
今日は、8月入門の小5男子A君の入門式を挙行しました。土曜日の午前中に大府市でテニスを習っているA君は、普段の道院修練には参座出来ないのですが、今日はテニスを休んで頂き、「主役」を務めて貰いました。そんなA君の行動に応える様にしっかりした段取りで行わなければいけないのですが、相変わらずの準備不足の為、セロテープを忘れてしまい、式次第を貼り出せないと言う失態でした(泣)。
それ以外の導師法話等はそこそこ順調に。A君も「練習して来た?」と聞くとはにかんで首を傾げるものの、誓願文奉読をしっかりこなしてくれました。またラストの各自の「自己紹介」では「好きな音楽・曲・アーティスト」も交えて行いましたが、私はほとんど判らない曲やアーティストばかりだったものの、列席者が「あ!それ、知ってる!」と普段知る事の無い一面に触れられて、共に修行に励む仲間としての雰囲気作りには良い時間だった様に思います。
余談ですが、専有道場に出向く途中に、刈谷市商工会からも推奨されている和菓子屋さんが在りました。刈谷北道院を設立して以来、道院長研修会で帰山する度に、定宿にしている民宿への手土産を、そのお店で買っていたのですが、看板のおかみさんの高齢化による反応の鈍さがこの10年で進んでいくのが気になっていました。今年5月の帰山時にも和菓子を購入したのですが、その前日に降ったゲリラ豪雨により店内が水浸しに成り、何とかお菓子だけ受け取って帰ったのですが、それ以降お店はずっとシャッターが閉まったまま。今日お店の前を通ると、隣接していたもう1軒の和菓子屋さんと共に建物が消え去り、更地に成っていました。その当時にも予測していましたが、自分がそのお店の「最後のお客さん」に成ってしまいましたし、普段の法話でも頻繁に使っている「一期一会」や「諸行無常」と言う言葉が、リアルに目の前で形になった時の寂しさ切なさを実感しました。
場を変えて、易筋行を。まずは「3本の軸」を意識する事をメインにして、開足中段構からの単独・相対での動きと感覚を練り上げます。道衣を着ての参座は久々と成るNさんも、アドバイスを交えつつ汗をかきながらしっかり身体を動かしていました。ほとんどの人には、入門した時から「基本が大事」と伝え、「4つぐらいの動きの応用で出来ちゃうから」との意識を刷り込んで来ましたが、それを動きとして体現出来ている人もあまり多くないのが現実です。久々の参座ながら、Nさんはそれが出来ているので「大したものだな」と心強く思います。
市民館から参座した人達の自己紹介もこなした後に、来週昇級試験を予定しているWちゃんと、「受けるかどうかは1週間前に決める」と伝えていた小3黄帯のA君に、「しっかり全力でやる様に」と念押ししました。特になかなか真剣度が備わらないA君には、頻繁に「それ、全力か゚?」と確認しますが、出来ればそれをしなくても自分で意識とテンションを高めて欲しいもの。逆に、その瞬間に周囲の人の意識が高まる事もあり、他人事の様に過ごしてしまう人もあり、で。全体で意識が高まって行く様に、上手く導いていきたいものです。
組合せや内容をあれこれ入れ替えて、易筋行を進めて行きますが、技術の練度やテンションがなかなか挙がらないA君も。時折り上手く出来た時に「今の良いよ!今のをやろう!」と伝えられた時は、表情は変わらないもののやはり嬉しそうな空気を出します。最終的には、締めの気合い出しの時に基準の位置に走って来たA君に、「どうするの?受けるの?」と聞くと「受けます!」といつもより大きな声で答えてくれましたので、「じゃあ、僕を試験官の先生だと思って、名前を呼ばれたら返事をして、試験のスタートの号令を掛けよう」と伝えると、1年前の試験の際とは全く違った返事と号令を掛けてくれました。
「よし!来週、しっかりやろう!」と伝えた後の全員での気合い出しは、全体からプラスの空気の大きな気合いが出ていました。「これを毎回繰り返す事が出来たら、皆楽しくやれるだろうなぁ」と思いつつ、これが長続きしない「諸行無常」を肝に銘じて帰路に着きました。