速水信之 前道院長が「がん」で余命3か月という宣告を受け急きょ後任者を選ばなくてはならなくなり、私が引き受けました。
少林寺拳法を始めたばかりのころは、ゆくゆくは自分も道院長になりたいとは思っていました。
しかし、いざ切羽詰り道院の存続にもかかわる事態となれば、誰かがやらなければ道院がなくなってしまいます。速水大先生が築き上げて生きた伝統ある名東道院をなくすわけにはいかない、ということで引き受けたのですが、家庭、仕事との両立となるとなかなか難しいところも多々ありましたが、素晴らしい幹部拳士のおかげ、すべてうまくいくようになりました。今も幹部拳士にもそして速水先生にも感謝をしています。
楽しく学んで、強くなる
これをもっとうに、日々楽しい練習を心がけています。
少林寺拳法は「苦行」ではなく「養行」であると聞いていますので、決して苦しい練習はしません。それぞれ自分に合ったペースで楽しく、自分から習おうという気になるよう指導をしているつもりです。
今取り組んでいることは、華麗なる少林寺拳法を目指そう!ということです。強さを求めることはとても大事なことではあり、私もそれを求めて入門しました。しかし、現代社会において強さだけではなく、強さプラス「美しさ」も大きな要因だと感じています。
技が美しい人はきっと心も美しく感じるはずです。
拳士も父兄も一緒に楽しめる場でありたいと考えています。
演武会、新春法会、だるま際、合宿、各種大会等々いつでも育成会(父兄)が協力をしてくれるのでとてもスムーズに行事が進んでいます。この輪をもっともっと広げ、何か事あるごとに集まる機会を設け、少林寺拳法以外の話題でも盛り上がるような道院を目指しています。
40年以上の歴史ある道院ですが、道院の初期を知る拳士も現役拳士として、指導に当たっています。小学校低学年の拳士から高齢者までと拳士の年齢層は幅広く、高段者を中心に技の研究にも余念がありません。
樹木に囲まれた趣あるたたずまいの道場は、技の修練と精神修養には最高の修行環境と言えます。幅広い年齢層の拳士たちが和気あいあいとして練習を楽しむ様子には「長上を敬い、後輩を侮らず」の教えがそのまま生きています。
とりわけ道院長を中心とした高段者は、技の研究に熱心で、少林寺拳法を愛する気持ちの強さを感じます。それぞれの事情で何年も道院を離れていた拳士も昔の仲間とまた練習を始めています。歴史の長い名東道院は、離れていてもいつでも帰れる故郷のような、そんな道場と道院なのだと思っています。
副道院長 高田廣司