2021年7月 理事長通信

合掌
日本企業は長生き、長寿と言われますが、「今ある企業が30年後に存在する確率は5%である」という“企業30年説”がかつて注目されたことがありました。私事で恐縮ですが25歳の時に転職して名古屋勤務となって4年目くらいでしたから約40年近く前だったように記憶しています。当時はまだまだ終身雇用制が一般的だった時代ですから、入社した会社がその時すでに創立22年目を迎えていたため一抹の不安を感じた記憶があります。しかしその後40年以上経た今も相変わらず雇用されていて、その会社も今年無事に創立60周年を迎えていますから、ご縁があった“企業の長生き”には感謝の気持ちしかありません。
創業してからの年数100年、200年スパンで世界の企業を見た時に“日本企業は長生き、長寿”と評されることには理由があります。世界の創業100年以上の企業のうち、半数近くが日本の企業という事実です。さらに創業200年以上の企業となると、日本企業の比率は65%まで上がるそうです。現存する世界最古の企業は日本の㈱金剛組(578年創業)、日本で最も創業が古い上場企業は1586年創業の松井建設㈱ということだそうですが、この地域の企業では6番目に岡谷鋼機㈱、そして10番目にタキヒヨー㈱(1751年創業)が名を連ねています。創業270年企業の会長(滝 茂夫氏)を昨年、愛知県連盟の会長(小山 勇・前会長の後任)にお迎えすることができたご縁にもただただ感謝するばかりですが、同様に“企業30年説”を倍以上の年数にわたってクリアされている㈱中日新聞社、中部日本放送㈱、東海テレビ放送㈱に加えて世界的な企業の㈱デンソー(※以上、各社敬称略)とのお付き合いも長きにわたって継続されているご縁に対しても大変有難いことと、感謝と共に引き続き健全な組織の継続を図っていかなければなりません。長寿企業が大切にしていることを漢字一字で表すと一番は『信』、次に『誠』だったとか。顧客の『信用』を得るためには『誠実』さは欠かすことができないということでしょう。創業100年企業の三菱電機㈱の鉄道車両向け機器の検査不正についてこのところメディアで大きく取り上げられています。報道によると、創業以来100年のうち実に35年間にわたって組織的に不正行為が行われていたということですから言葉を失います。長きにわたって不正行為が続いていたということですから企業風土そのものが疑問視されるところです。当然のことですが、企業にとって“信”を無くすことの重大さをあらためてこれから思い知らされることになるのだと思います。どんな組織にとっても健全さを維持していくためには自浄能力の有無が求められます。それは大小を問わず全ての組織、企業レベルから国家組織に至るまで例外はないはずですが“忖度”が流行語になったように問題が起こっても身内の第三者委員会がお茶を濁すような対応で事を収めてしまう事例は後を絶ちません。“誠”なきところに“信”あらずということなのでしょう。組織の継続とは反対に“組織の衰退”にはその殆どが人為的な要因が絡んでいると言われます。“信”も“誠”も人によって生み出されることからすると「人、人、人、すべては人の質にあり」に行きつきます。
さて先月、全国高校総体(インターハイ)の愛知県予選がビデオ審査で行われ、今月末に長野県で開催される本大会への愛知県代表拳士が決まりました。3年生にとってはコロナ禍の中で昨年に続いて厳しい部活動の思い出となった生徒たちも多かったのではないでしょうか。今回、惜しくも全国大会への選に届かなかった拳士たち(3年生)はこのタイミングで部活動を引退して受験に備えるというのが一般的なスケジュールのようです。少林寺拳法は“生涯修行”であると言いながらも高校生・大学生に対する学外の指導者にとっては部活動での指導の限界・難しさを感じてしまいます。「何のために少林寺拳法を修行するのか?」は修行を始めるにあたっての一丁目一番地です。“大会が終われば修行も終わる”というところが学校教育における課外活動の大きな課題だと言えます。組織の継続とは異なりますが、技術修得だけが目的ではなく生涯通じての『自己改革』を目指した取り組みにつなげてほしいと願うばかりです。“技術から教え”を、そして“教えから技術”を学ぶところにこの道の核心があると思っています。継続することの意味もそこに見出せるのだと思っています。休眠拳士の復帰を促す活動を県内各所属にお願いして久しいのですが、コロナ禍だからこそ色々とアプローチを図っていただきたいと思います。

 7月25日(日)スカイホール豊田にて全国大会選考会を開催します。出場拳士は84組168名です。開催にあたって感染予防対策については事務局から再度発信させていただきますので、出場拳士への指示徹底を含めてご協力をお願いします。なお、同日午後からは延期となっていた5・6月度の昇格考試(昇段)を行います。受験申込者への意思確認も既に終え、24名の受験となります。選考会・審判員と昇格考試・考試員を兼ねてお願いしている所属長がほとんどです。ご苦労をおかけしますがご協力をお願いします。

2021.7.5
愛知県少林寺拳法連盟 理事長 多月 文博
(愛知県UNITY運営委員会委員長)




いいね!>> いいね! 2 人
読み込み中...