合掌
「文通費」。正確には「文書通信交通滞在費」(国会議員に1人月額100万円が支給され、公の書類を発送・公の性質を有する通信への支出が認められているもので、目的外使用があっても罰則がつかない「つかみ金」と評される性格のものらしい)といういかにも長ったらしい分類科目(?)が衆院選挙後にわかに与野党の間で見直し議論が起こっています。発端は先ごろ行われた衆院選挙で当選した今回選挙の躍進政党新人議員からの問題提起。“衆院議員の任期は投票日から始まる”とされているため10月31日だけの在任に対して100万円が支払われていたこと。「新人や元職は実質的に活動していないのに満額支給されたのはおかしい」と、当たり前の指摘をしたことです。今更ですが、世間の常識が永田町では通じないことは十分に認識していますが、既得権益に固執する浅ましさ醜さをあらためて思い知らされる報道ではあります。長年にわたって国会が放置してきた案件でもあります。原資はもちろん税金です。最低でも使途の公開など透明化を図るか実費精算が世間の常識ではないでしょうか。指摘されたとたんに与野党がこぞって法改正を声高に叫ぶ姿はあまりにも情けないとしか言いようがありません。
さて、今年度からの新制度、「道院長資格認定講習会」の一次研修(地方)並びに面接審査・技術審査を終えて県内では4名の道院長が交代(内、1名は参与道院長)されることになりました。指導者層の高齢化と共に道院・支部の存続が課題とされてから久しくなりますが、愛知県においても少しずつ活動継承に向けて動きが出始めています。この10年間で県内の所属数は残念ながら41減ってしまいました。組織機構改革をはじめ色々な事情があったにせよ、結果的には道院長の高齢化と拳士数の減少が一つの要因となっていることは否めません。コロナ禍の中で活動が制限されていたこともあって、この2年間近くは各所属においても色々な取組がなされたことと思います。何よりも、自身を含めて活動を振り返る機会を得たように感じています。面授面受が基本の道院・支部での活動がままならない状況で、何を共有して何を目指すのかということをあらためて深く考えさせられたような気がします。
去る11月13日、将棋の竜王戦七番勝負をストレートで制して王位・叡王・棋聖と合わせた4冠を手にした瀬戸市出身の藤井聡太(ふじいそうた)新竜王。渡辺 明(わたなべあきら)名人の3冠を抜いて現役棋士トップとなり、これまで羽生善治(はぶよしはる)九段が持っていた最年少4冠記録を28年ぶりに更新(3年6ヶ月短縮)した注目のタイトル奪取戦でした。人口知能(AI)すらも出し抜くと言われる藤井4冠の将棋は、瞬時に最善手を見抜く「直観」と言われているようで、無意識の直感的判断が常人にはない脳の独自回路の産物なのだとか。
一方、大リーグ挑戦4年目の今シーズン、投手と打者の「二刀流」で大活躍をしてシーズンを終えた今も数々の賞レースで独壇場の活躍を見せるエンゼルスの大谷翔平選手。悲壮感やプレッシャーとは無縁の活躍に舞台は違っても両者をダブらせてしまいます。初めて将棋や野球に触れ、その楽しさの虜になった子供がそのままに“楽しくて仕方がない”様子を両者から感じてしまうのは私だけではないでしょう。
『子曰く、「之(これ)を知る者は、之(これ)を好む者に如(し)かず。之(これ)を好む者は、之(これ)を楽しむ者に如(し)かず」とか。』 曰く、学問において最強の勉強法は「楽しむこと」だと勧めています。少林寺拳法に初めて触れた時の驚きや感動、ただただ楽しくて稽古が待ち遠しかった頃の日々が思い出されますが、その時自分が味わったワクワク感を果たして今は拳士に提供できているのだろうか?ということです。ほぼ二年間近くとなるコロナ禍の中で足踏みをしていないだろうかということです。“今できることを精一杯”取り組むことの繰り返しがその答えを出してくれるのだと思います。
2022年度のスケジュールもほぼ確定しました。一年を通して安心して活動できることを期待しています。
2021.11.18
愛知県少林寺拳法連盟 理事長 多月 文博
(愛知県UNITY運営委員会委員長)