2022年12月理事長通信

合掌

 “教訓はどこへ行った・・・”

日本が焦土と化し日本人だけでも三百十万人という犠牲者を出し、交戦国は言うに及ばずアジア・太平洋諸国にも大きな犠牲を負わせた太平洋戦争が始まった1941年12月8日から今年で81年目を迎えました。大きな犠牲を強いた戦争への反省に基づき戦後の日本は「戦争放棄と戦力不保持」の憲法九条の下で防衛政策を組み立ててきました。自衛隊は専守防衛に徹するという役割分担の下、他国に対して侵略的攻撃的脅威を与えないということが大原則として守られてきました。平和国家としてひたすら歩んできた戦後の日本、憲法九条の精神は国際社会からも高い評価と尊敬を勝ち得てきました。しかし今、この平和国家としての歩みを大きく踏み外すのではないかという議論が岸田政権下で具体的に進められていることはご存知の通りです。先日、岸田首相は2023年度から五年間の防衛費総額を現行の1.5倍超の約43兆円、2027年度には関連予算と合わせて国内総生産(GDP)比2%にするよう関係閣僚に指示しました。財源には法人税を中心とする増税にとどまらず、決算剰余金や東日本大震災の復興特別所得税の流用案も含めて議論されています。コロナ禍やロシアのウクライナへの軍事侵攻もあって物価・光熱費の高騰や社会保障費負担も増える中で私たちの暮らしは苦しくなる一方です。そんな中でのまさに『軍拡増税』は国民にとってとても受容できるものではないでしょう。ロシアの軍事侵攻を受けて「敵基地攻撃能力の保持」を声高に叫ぶことで果たして「抑止力」の向上を目指すことになるのでしょうか? 軍備増強を目指す中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮等の脅威に対して軍事力で対抗することが地域の安定につながるとはとても思えません。過去に学び不幸な歴史を決して繰り返さないという確固たる信念を根底に持ち続けることこそ国際社会の中で日本が果たす役割が見いだせるのではないのかと思うのですが・・・。

去る11月19・20日の二日間にわたって3年ぶりの全国大会が大阪・丸善インテックアリーナ(大阪市中央体育館)にて開催されました。感染拡大第8波が心配される中での開催でしたが、感染対策としての入場制限も含めて前夜の祝賀会、そして本大会と無事に終えることができたようです。大会へは滝 茂夫(タキヒヨー㈱相談役)愛知県連盟会長と大石 幼一(中部日本放送㈱会長)顧問が早朝より参加して下さり、滝会長には二日間にわたってお付き合いいただき表彰式での授与者にもなっていただきました。大会結果としては愛知県勢の活躍が目覚ましく、多くの種目において上位入賞されました。拳士はもちろん指導にあたられた所属長をはじめ関係者各位にあらためて敬意を表します。お疲れさまでした。

県内行事としては11月26・27日の二日間にわたって『地域青少年錬成大会』(日本武道館共催行事)を開催しました。最終的な参加申し込みは二日間で150名弱になりましたが、土日の参加人数に偏りが出たため申し込みがあった所属に対して参加日変更をお願いし、ご協力いただきました。あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました。アンケート内容も非常に好評で、三重県の中山講師と北海道からの伊藤講師には感謝するばかりです。

今年度末で2年間の役員任期が終わります。2011年度から6期12年、組織機構改革や武専改革、そして3回目の全国大会開催とコロナ禍での活動、会員各位には本当に支えていただきました。ありがとうございました。役員改選のスケジュールをまだお伝えできていませんが、今しばらくお待ちください。

 2020年当初から増減を繰り返す新型コロナウイルスの感染状況ですが、ワクチン接種の普及による集団免疫の拡がり、そして重篤化しないという安心感からか、感染対策のレベルも格段に変化してきたように思います。何よりも気持ち的に以前の日常生活に戻りつつあると言ってもいいのでしょう。私たちの活動も気持ちのうえではかなり負担感が軽くなっているのは事実です。逆に、感染を防止することが難しくなっていることも事実です。2022年も残り二週間になりました。ほぼ三年間開催することができなかった県連懇親会ですが、新年早々に企画しました。感染対策をしながらの開催となるため会場選定に苦慮しましたが、結果的にご案内のようになりました。ご理解いただくと共に久しぶりに一堂に会し、いろんな話に花を咲かせればと考えています。

 

年末にあたり今年一年間のご協力に感謝すると共に、会員各位におかれましては引き続いてのご協力を心よりお願いします。

 

※忌憚のないご意見を県連事務局にお寄せください。

2022.12.15

愛知県少林寺拳法連盟 理事長 多月 文博

(愛知県UNITY運営委員会委員長)




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