2023年7月理事長通信

合掌

最近、通勤電車の「優先席」に座らせてもらう機会が増えました。少し前までは、優先席に限らず小・中学生から普通に席を譲られると「いやいや まだまだ」と、少し見栄もあって複雑だった気持ちもここにきて素直に「ありがとう」に変わっています。でも、何ともすっきりしないことが。座席を本当に必要とされている例えばヘルプマークのタグを下げている方や妊婦の方が優先席の前で気付かれずに立たれている姿を見ることがあります。本当に気付いていないのか、気付いていないふりをしているのか定かではありませんが。雨の横断歩道、傘を差して自転車に乗ろうとして倒れた人に、間髪入れずに駆け寄ろうとした高校生もいて、私自身の45年間に及ぶ通勤時間はいろんな場面を見せてくれました。残念ながら、他者を思いやる心が急速に後退していっているように思えてなりません。

さて、最近の文科省の発表によると、小・中学校が把握した2021年度のイジメ件数は615,315件。このうち、小学校が81%、中学校が16%と大半(全体の97%)を占めるらしい。同じく文科省発の新任教諭の退職者数が2021年度は539人で総退職者数の1.61%にあたるとか。団塊世代の大量退職者によって新任の先生たちの心のケアに手が回らなかったせいとかの分析も出されています。“働き方改革”が叫ばれてはいてもなかなか思うように改善されず、新任の先生方に対するメンタルヘルス支援が不十分だったということらしい。子供たちの“心のケア”の前に先生たちの“ケア”が足りていないとは、いやはやエライ時代になったものだと驚かされるやらあきれるやら。もちろん先生方もスーパーマン(今や子供達には通じない古い表現ですね)ではないわけですから、当然心を病むこともあるでしょう。とはいえ、この現状をどう捉えていけばいいのでしょう。日本独特の生涯雇用制度がいつしか後退してしまい、一方で様々な転職サイトが注目される社会の現実。“ひ弱な心”と一言で片付けられない様々な問題が含まれているようにも思います。複雑化している現在社会の歪(ゆがみ)の部分をはたして根本的に改善することができるのでしょうか。加えて驚きの報告がもう一つ。日本の“男女平等”度合いは世界対象国146ヶ国中の125位とか。ちなみに、主な分野ごとの順位も発表されており、政治138位、経済123位、教育47位、健康59位とのことで、トータルすると先の125位ということです。なるほど、そういえば記憶に新しい広島でのG7サミット開催に合わせて議長国としての体面を整えるために急遽取り繕った「LGBT理解増進法案(LGBT法案)」。誰のための何のための政治? 識者からも異論が出る“行き当たりばったり”感の強い政策と評されました。遡れば原発再稼働の問題もそうですし、「安全保障政策」についても大転換が行われましたが、果たして議論は尽くされたと言えるのでしょうか? 国民のための政策ではなく単に党利党略の産物でしかないのでは? の思いを強くしてしまいます。“なし崩し”や“核論先送り”といった小手先だけのお茶の濁し方では残念ながら世界からの信用も得られず、潮流から取り残されていくのは明白です。一方で、訪日観光客がこぞって日本人の人間性や徳性の高さにリスペクトしている現実もあるのに何とも“不思議?”が増す国かもしれません。

さて、定期総会に続いて東海大会、そして全国中学生大会・全国大会「小学生の部」の県代表選考会と矢継ぎ早に行事を開催し、事務局長を中心に事後の各々の報告や諸手続きといった一連の事務作業や行事総括もほぼ一段落して関係各所へのお礼状送付、ご挨拶も終えたところです。

今週末には東海四県教区の意見交換会、来週は県修練会、そしてインターハイ、全国少年少女武道錬成大会に全国中学生大会と、全国的な行事も控えています。そんな中、今年度は県連・県教区・UNITY運営委員会の事務局長(UNITYは武専担当責任者)を同時に交代し、6月末をもって一応の引継ぎ期間を終えます。本山・本部もそれぞれに重要課題を抱えてのタイミングで愛知県としては久々の大きな体制変更となります。世代交代が叫ばれて久しい中、一気に屋台骨を刷新することはできませんが、喫緊の課題を整理しながら次世代に向けた体制作りを順次進めていきます。

一時的に停滞やミスが起こるかもしれませんが、会員各位のご理解と温かいご協力をお願いします。

 

 

再拝

 

2023.7.1

愛知県少林寺拳法連盟 理事長 多月 文博

(愛知県UNITY運営委員会委員長)




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