合掌
「いままでなんかいも死のうとおもった。でもしんさいでいっぱいしんだからつらいけどぼくはいきるときめた。」新聞・テレビ各社が一斉に取り上げたこの一文は、5年前の2011年8月、福島第一原発事故によって横浜市内に自主避難した現在中学1年生の男子生徒が、小学2年生当時から受けていたいじめの実態をノート3ページにわたって書いた手記が公開されたものの一部です。「いじめ防止対策推進法」が制定されるきっかけとなった2011年10月に滋賀県大津市で起きた当時中学2年生男子生徒の飛び降り自殺事件以降も全国では今なお深刻ないじめ問題はなくなる気配さえ見えていません。学校や教育委員会の対応や判断、隠ぺい体質等々、事件が起きるたびにいろんな要因が指摘されてはいますが、今なお不幸な結果によって表に出てくるのは氷山の一角でしかないという現実に愕然とさせられます。特に、今回のケースは東日本大震災という大規模自然災害に起因する原発事故ということからすれば、その被災者は周囲の温かい目で守られるべき対象であったはずです。“放射能”“賠償金”など小学生の発想から出てこない単語もいじめに使われていたとか。言われのない理不尽なことでいじめの対象となり、じっと我慢するしかない日々を何年も送ってきた無念さはどれほどのものだったのでしょう。先生に言おうとしても取り合ってもらえなかったことも書かれており、辛さ、悔しさ、心の傷の深さは計り知れないものがあります。それでも「・・・しんさいでいっぱいしんだからつらいけどぼくはいきるときめた。」というくだりからは、いじめの辛さよりもなお震災を目の当たりに経験したことによるショックの方がいかに大きかったかということを物語っていて言葉もありません。あらためて原発事故が及ぼした影響の広範さを感じさせられます。
一方、現在社会に目を向けてみると、至るところでハラスメントが蔓延していることに気づかされます。過労による自殺者が出た広告代理店大手の電通、沖縄・米軍ヘリパッド工事に動員されて反対派住民に対して“土人”発言をした機動隊員、次期アメリカ大統領に決まったトランプ氏等々。身近なところでは、我が組織内においてもあらゆる機会を通じ、指導者に対して注意喚起がなされている状況です。“相手の立場に立つ”ことがどうしてこうも軽んじられるようになったのでしょう。戦後の混乱期、自分が生き残っていくことさえ難しい時代に「半ばは他人の幸せ」を考えて行動せよと説かれた開祖の思い。私たちの修行の原点は決して見失わないようにしていかなければなりません。「人間関係の豊かさにこそ価値を感じる生き方」を示された開祖の思いをあらためて心に刻みつけることが求められているのではないでしょうか。せめて自分たちの周りに不幸な出来事が起こらないようにしていきたいものです。
さて、先月末に開催された「2016年少林寺拳法全国大会inおおいた」へのご協力、ありがとうございました。愛知県の代表として奮闘していただいた拳士各位にあらためて感謝申し上げます。県連で手配した博多駅から大会会場(宿舎)を結んだバス移動も、何とか帰りの新幹線の発車間際に滑り込むということはありましたが、事故なく皆さん方の移動をサポートすることができました。ただ、当初の申し込み人数(バス2台分)から最終的には1台で間に合う人数に減ってしまったこともあって、次回からの対応を考え直さなければならないと感じています。
2016年も残すところ1ヶ月少しとなりました。県内行事としては名古屋市大会と高校新人戦が今月19日に開催される予定です。県連理事長・副理事長任期(1期2年)も今年度で一区切りとなります。来月には役員改選が公示されます。組織活性化をはじめ、まだまだ多くの課題を抱えていますが、優先順位を間違えず、将来展望をきちんともった県連運営をしていかなければなりません。引き続き皆さん方のご協力をお願いします。
11月13日に名古屋産業大学施設をお借りして、県教区主催の「本山公認講習会」を開催しました。約130名の参加者アンケートの中に、県教区もホームページがあったらいいとの意見が沢山あったのに驚きと共にPR不足を痛感した次第です。先月の理事長通信では県教区と県連のサイトについて十分に説明したつもりでしたが、伝えることの難しさをあらためて感じました。以下にアドレスを紹介しておきます。両サイトとも愛知県ポータルサイト計画に基づいてリニューアルされています。是非ご覧になっていただきたいと思います。今後の研修会・講習会の案内や申し込み方法はサイトを活用することで資料の事前配布やメール配信によって迅速な情報共有を目指していきますから、皆さん方も認識を新たにしていただきたいと思います。
愛知県教区サイト https://shorinji-aichi.jp/wp/kyouku
愛知県連盟サイト https://shorinji-aichi.jp/wp/kenren
再拝
2016 年 11月 16日