合掌
立春を過ぎました。暦の上では早くも春ですが、一年のうちでもっとも寒い時期を迎えています。かつて、一年の始まりは「冬至」を基準に考えられてきたとのこと。「冬至」は一年で一番昼が短い日。この日から一日一日昼の時間が長くなっていきますが、気温はまだまだ下がっていきます。そこで、気温が最も低くなる「立春」の日に近い新月の日を一年のスタートの日にしたそうです。一番どん底の日をスタートの日にしようという考え方は、一番たくさん希望が持てる日という昔の人のそんな思いが込められているのだそうです。“希望”を持つと言えば、政権移行によって新しい指導者の手腕に国中の期待・希望が集まるものですが、就任後もアメリカ・トランプ大統領の口撃が止まりません。選挙期間中からの過激な発言はさらに激しさを増し、ツイッターによる一方的な主張、大統領令の連発に対しても世界中で抗議行動が巻き起こっています。特に、特定の国出身者やイスラム教徒を排除しようとする政治手法に対し、アメリカ国内でも大規模な抗議デモが行われ一部が暴徒化するなど、わずか就任2週間あまり、政権人事も含めてある意味では世界を震撼させる波乱の幕開けとなりました。意に沿わない意見や批判には批判を繰り返し浴びせ、高圧的にしかも一方的に攻撃する政治手法からは自由と人権尊重を標榜する国アメリカの大統領をイメージすることができません。しかし、大統領令に真っ向から“NO”を突きつける国民や司法当局、そしてメディア各社等々、アメリカ国内だけではなく国際社会も一致して撤回を求めている点では救いがあります。今月11・12日には安倍・トランプ会談が行われます。対日貿易赤字をことさら問題視し、日本企業に対してアメリカにおける雇用創出への貢献を求められることに対し、真偽はともかく今月2日の日本経済新聞は「日本の公的年金をアメリカのインフラ事業に投資する」と報じました。昨年7月初旬に約5兆3000億円もの運用損が発覚、そのツケを国民に対して年金支給額をカットする「年金カット法案」の強行採決で押しつけたばかりの政府。そういえば第一次安倍政権時の「消えた年金問題」に対してもそのままダンマリを決め込んでいるなど、将来に対して暗澹たる気持ちになってしまいます。現時点では特にロシアと中国、そしてドイツがアメリカと距離をおいてトランプ政権を見定めようとしている感がありますが、いち早く擦り寄るかの我が国の対応に大きな不安を覚えてしまいます。
「人、人、人、すべては人の質にあり」と説かれた開祖の言葉がことさら頭に浮かびます。“全てが人によって行われるのであれば、少しでも質を高めようではないか!”という教えは私たち拳士の目指すべきところです。振り返って“質”を高め、“品位(品格)”がともなった人でありたいものです。原稿棒読みで議論がかみ合わない国会答弁やその都度示される大半が黒塗りの資料、そして感情的になったやりとりからは民主主義の健全さは欠片も見えません。政治家の資質はもちろん、選ぶ私たちの“質”が今ほど問われている時はありません。
さて、2017年度の行事予定がほぼ確定し、愛知県連盟ホームページに掲載しました。詳細については県連事務局または所属長にご確認ください。県連ホームページは2017年1月1日からリニューアルされており、愛知県内の少林寺拳法に関する様々な情報を一元的に広範囲に提供しています。同じく愛知県教区のホームページは昨年2月にリニューアルし、県内各道院ブログを通して活動内容を幅広く提供しています。愛知県内で「少林寺拳法を始めたい」「どこでやっているの?」、“少林寺拳法って何?”“どこで、どんな人が、どんなふうに・・・”という疑問にお応えできるように今後も内容を充実させていきたいと取組んでいます。
愛知県内には160か所を超える活動拠点があります。興味を持たれた方、いろんな事情でお休みされていた方は特に今の自分に合ったところを見つけて歩き始めていただきたいと思います。
(愛知県連盟サイト:https://shorinji-aichi.jp/wp/kenrenにて紹介)
(愛知県教区サイト:https://shorinji-aichi.jp/wp/kyoukuにて紹介)
再拝
2017 年 2月9日
愛知県連盟理事長 多月 文博