7月 理事長通信

合掌

 注目を集めた東京都議会議員選挙でしたが、大方の予想をはるかに超える自民党の歴史的な惨敗という結果に終わりました。投票率は51.28%と前回の43.5%を8%近く上回り、『安倍1強』と言われるこのところの政権運営の手法に対する国民の意思表示の場としての位置付けもあって、都民の関心の高さがうかがわれました。強引と言わざるを得ない国会運営に対する批判、投票日直前の稲田防衛相の失言や下村・自民党都連会長の加計学園が絡む政治献金疑惑等々、一連の閣僚や国会議員の失言、暴言等の不祥事を含めた問題行動は言うに及ばず、そもそも議員本人の資質が問題視される事象もあって、小池都知事率いる「都民ファーストの会」への信任というより自民党への批判感情が噴出した結果だというのが今回の選挙評となっています。都議選での大敗、支持率の急落を受けてやむなく本日10日に開催された“閉会中審査”でしたが、参考人として出席した前川・前文科省事務次官の紙資料など一切持たず、まっすぐ前を向いて淡々と、しかも理路整然と答弁する姿とは対照的に政権側の答弁は相変わらず的外れで官僚作成の答弁書を延々と読み上げるなど、時間稼ぎと争点ぼかしが一層募るやり取りだと感じられました。大阪府の森友学園への国有地格安払下げ問題もそうですが、公文書管理を含めた行政の在り方がどう見てもおかしいという印象を国民の大半が感じているなかでも明確な説明がなされないということは、裏返せば説明できない後ろめたさが存在すると思わざるを得ません。物議をかもしながら禁じ手を使ってまでも成立させた「共謀罪」の構成要件をあらためた「テロ等準備罪」の新設を柱とする改正組織犯罪処罰法が明日11日に施行されます。特定秘密保護法(2013年)にはじまり安全保障関連法(2015年)、改正通信傍受法(2016年)、そして共謀罪(2017年)と、現政権4年間の歩みはこの国に短期間で「戦争ができる体制」を整えたともいえます。現閣僚のほとんどが参加している政治団体『日本会議』の思想、2018年度にまず小学校から始まる道徳教科化に関連して、教育勅語については「憲法や教育基本法に反しないような形で道徳教育の教材として用いることまでは否定されない」との答弁書も閣議決定されています。憲法改正へのあくなき執念を見ても政権はこの国をどこへ導こうとしているのでしょうか?

 さて、今年は“少林寺拳法創始70周年”の節目の年です。1947年、開祖は敗戦直後の混乱期に「人づくりによる国づくり」を唱え、自分が生きることで精一杯の社会環境の中で「半分は他人のことを考える」ことの大切さを訴えて、その思想と技法は瞬く間に広がりました。開祖が問い続けたものは“人間とは?”“社会とは?”“宗教とは?”そして、”人々を本当に幸せにする道とは?“であったように思います。そして、「正しい仏法と現在社会を結ぶ新しい道」として少林寺拳法が誕生し、”金剛禅の教え“と”宗門の行としての少林寺拳法“と”組織“が今に遺されたわけです。今を生きる私たちは、少林寺拳法の修行を通して「本当に大切なものを見失わない生き方」を身につけていかなければなりません。世界規模でみると私たちの取組みはほんのささやかな取り組みかもしれません。しかし、開祖の志に共鳴してこの道を歩むかぎりは本来の目的を見失うことなく個々の点を線に、そして面に拡げていかなければなりません。世界は今、自分さえよければ良いという方向に流れようとしています。日本においても”戦前回帰“が声高に叫ばれる現在、「良いことは良い、悪いことは悪い」と言うことができる自信と勇気と見識を身につけること、身につけさせることが修行の目的に通じるとことであり目指すところだと思っています。修行とは日々努力すること。それが自分を変え続ける唯一の方法であることを自身肝に銘じておきたいと思っています。

2013年6月、アメリカの元情報局員エドワード・スノーデン氏によってアメリカ政府のインターネットを通じた世界規模の監視体制構築の実態が暴露されたのは記憶に新しいところですが、関連書にこんな一文がありました。

「理念のために立ち上がることは、時にリスクを伴う。不正を暴くために自分の人生を完全に変えることを、誰もができるわけではない。しかし、私たちはみな人生のどこかで、易きに流れる道と正しい道のいずれかを選ばなければならない場面に出会う。私たちにはみな、小さなリスクを取ることで社会をよりよくすることができる機会があるはず。安全を求めてではなく正しいがゆえに行動する機会があるはず。」(「スノーデン日本への警告」より抜粋)

再拝

 
 
 

 

※少林寺拳法“グループ愛知”ポータルサイト構築計画に伴い以下のサイトが立上っています。

 

(愛知県連盟サイト:https://shorinji-aichi.jp/wp/kenrenにて紹介)

  ■11支部サイト掲載(スポーツ少年団・大学・実業団)

 

(愛知県教区サイト:https://shorinji-aichi.jp/wp/kyoukuにて紹介)

   ■54道院サイト掲載

 

 

2017 年 7月 10日

愛知県連盟理事長 多月 文博




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