合掌
「旬」は十日間を意味する漢字です。中世、朝廷では、毎月一日、十一日、二十一日に、天皇が臣下から政務を聞く「旬(しゅん)儀(ぎ)」という儀式が行われたそうです。これを略して「旬」というようになったということです。この日には季節に最も適したものや、その時季に最も味の良い食物が支給されたそうで、やがて季節の食物が出盛りの時のことを「旬」というようになったとか。最近は、「旬」がわかりにくい時代になっていますが、それでも特にこの時季は“実りの秋”と言われるように美味しい果物や魚が巡る季節を実感させてくれます。1935年に開場し、日本の台所として世界的にも知られた東京・築地市場が長い歴史に幕を閉じ、10月11日に新たに豊洲市場として歩み始めました。2004年の基本計画策定から14年間の時間をかけた移転に関しては紆余曲折があり、多くの問題が解決されたとは言い切れないにしてもメディアの取材に対して、今を起点に新しい歴史を作り出そうと前向きに語られる関係者の方々の表情が印象的でした。尾張旭道院長の坂本利通先生が先々週末(10月12日未明)に逝去されました。私と同年の65歳でした。道院長歴19年、特に小中学生を中心とした道院運営で青少年の育成に真摯に向き合ってこられた方でした。昨年は、東海地方の少林寺拳法普及に尽力された名法道院・高橋法昇先生、豊橋道院・徳嶋繁先生を。また一人かけがえのない仲間を失ってしまいました。
私たちの体は歳と共にゆっくりと衰えていきます。それは誰もが等しく経験する避けがたい人生の苦しみの一つでもあります。でも体の衰えと同じように心まで衰えさせてはならない、劣化させてはならないと思います。肉体が衰えていくからこそそこに宿る心には生きることの本質的な部分を見通す力とそこから生まれる他者に対する深い優しさが備わってくるように思うのです。先日、ある行事の運営方法に関して厳しく指摘をされる場面がありました。指摘内容はともかく吐き出される物言いには敵意、憎悪とも受け取られかねないニュアンスも含まれているように感じて愕然としてしまいました。そこには同じ志を持って道を歩む者同士の礼儀も信頼関係のかけらも見いだせない一方的な空気が感じられました。
『本当に必要なものは“実現したい志を共有する仲間である。志が同じなら上から目線も下から目線もない。困ったら一緒に行く道を確認すればよい。』はトヨタ自動車社長・豊田章男氏の言です。私たちは何を求め、何を目指しての生涯修行なのでしょうか?単なる拳技の練習になってはいないでしょうか? 常に自身を振り返る謙虚さを忘れたくないものです。
さて、今週末は群馬県高崎市の“高崎アリーナ”において「2018年少林寺拳法全国大会inぐんま」が開催されます。そしていよいよ「2019年少林寺拳法全国大会inあいち」に向けて具体的な準備に取りかかっていかなければなりません。2004年のナゴヤドームでの開催から数えて15年ぶりの全国大会は豊田市“スカイホール豊田”に舞台を移して2019年11月23・24日に開催します。そして、同年6月9日に同じ会場を使ってプレ大会(近隣3県を加えた東海大会)を開催していろんなシミュレーションをしたいと考えております。早々に概要(企画)を説明する機会を設けたいと考えておりますが、県連ポータルサイトを最大限に活用して情報を発信していきたいと思います。たくさんの拳士に参画していただくためにも積極的にご意見をお寄せいただきたいと思います。
※少林寺拳法“グループ愛知”ポータルサイト構築計画に伴い以下のサイトが立上っています。
(愛知県連盟サイト:http://shorinji-aichi.jp/wp/kenrenにて紹介)
■11支部サイト掲載(スポーツ少年団・大学・実業団)
(愛知県教区サイト:http://shorinji-aichi.jp/wp/kyoukuにて紹介)
■54道院サイト掲載
再拝
2018 年 10月 22日
愛知県連盟理事長 多月 文博