合掌
「この世に生を受けてまだ間がない幼い命が理不尽に消えていくことには悲しみが一層つのります。加えてそこに「加害者と被害者」という関係が存在する出来事であればなおさらやりきれなさが残ります。」5月28日午前の通学時間、川崎市多摩区の路上でスクールバスを待っていた小学生19人が包丁を持った男に次々と襲われ、通学途中の小学生1人と見送りに来ていた保護者1人が死亡、3人が重傷を負うという凄惨な何ともやりきれない事件が起こりました。
私も経験がありますが、突然起こった悲しい出来事に対してその関係者はひたすら原因を求め、原因者がいる場合はその対象者に怒りを向けることで一時的にせよ気持ちのバランスを取ろうとします。今回の事件はその後の調べで綿密に計画されたものであり、犯人も自殺してしまっていることから持っていき場のない怒りと共にやりきれなさが一層募ります。事件について軽々に語ることは不謹慎ですが、事故にせよ事件にせよ尊い命が一瞬で失われる悲しみの深さは言葉に表しようがありません。そして続く今月1日、東京都練馬区で父親による長男殺害という事件が発生しました。前述の川崎市多摩区の「児童殺傷事件」を受けて“長男の怒りの矛先が自宅に隣接する小学校の児童に向けられる”ことを危惧して決断との供述とか。長年にわたっての家庭内暴力等も根底にある複雑な事情があったとはいえ、高齢の父親が息子を殺めるという尋常ではない出来事にやはりやりきれなさが残ります。同種の事件の連鎖を防ぐ手立てが求められますが、背景として横たわっている社会環境を考えると一朝一夕に対処できるものではないでしょう。このところ続発している高齢者ドライバーによる暴走事故や依然として無くならないあおり運転等々、様々な原因による人心の荒廃も大きな社会問題となっています。「当たり前のことが当たり前にできる」世の中を目指して私たちは自分にできることを積み重ねていくことが修行の目的の一つでもあります。1947年、戦後まもなく創始された『人づくりによる国づくり』の取り組み。『半ばは自己(わがみ)の幸せを 半ばは他人(ひと)の幸せを』の理念は時の移り変わりにかかわらず人として常に持ち続けていなければなりません。そのためにもまずは『自己確立』、頼りになる自分をつくるためにも自分自身は「常に客観的に自分を見つめる眼を持ち続けたい」と思っています(なかなかできませんが・・・)。
さて6月に入って高校連盟によるインターハイ予選を皮切りに全国中学生大会選考会、秋の全国大会小学生の部の選考会と続き、昨日(9日)に例年の愛知県大会に代わる東海大会を何とか終えることができました。全国大会のシミュレーションという側面を持った大会でしたが、当初の終了予定を約100分超過する運営となってしまいました。出場拳士をはじめ早朝よりまた雨の中、会場に詰めかけていただいた全ての皆様方に多大なご迷惑をおかけする結果となってしまいました。実行委員会として心よりお詫びいたします。主な原因ですが、今回のシミュレーションの目玉となっていたタブレット端末による採点・集計システムの運用については危惧していた通信障害ではなくシステム立上げ作業や、操作方法の不慣れさから生じたトラブル、予選からの抽出組数の問題等がありました。加えて初めての施設の使い勝手から生じるトラブル、出場拳士がなかなか集められなかったことも遅れが生じた原因の一つでした。全国大会に向けてシステム開発会社のスタッフや本部職員も加わっての運用でしたが、多くの課題が浮かび上がりました。他に、大会成績の速報(ツイッターによる配信)や、大会に関する情報を県連HPで発信する等様々なチャレンジについても大会終了後に行われた検討会議では幅広い議論の中で今後の方向性が確認され、全国大会本番に向けていよいよ残り5ヶ月間の勝負となってきました。
雨の中、早朝から街頭や駐車場に立って整理にあたっていただいたスタッフの皆さんをはじめ、各所属での修練以外に定期的に集まって完成度を高めてきてくれたアトラクションチームメンバー、慣れないタブレット端末に終日向き合っていただいた審判の先生方、終日大会運営を支えていただいた全ての所属長や拳士各位に対して改めて心より感謝いたします。ありがとうございました。
皆さんからいただいた声の中には耳を塞ぎたくなるようなご意見、ご指摘もありましたが、正確な事実を把握した上で適切な対策を講じていきます。引き続き一体感をもって全国大会開催に向けて準備を積み上げていきますのでご協力をお願いいたします。
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再拝
2019 年 6月 10日
愛知県連盟理事長 多月 文博