合掌
愛知県内のある企業が福島県の震災復興支援のために、社員食堂で使用するお米を福島県産品に変更したという記事が今月3日の中日新聞朝刊に掲載されていました。使用量は年間約26tにもなるらしく、恒常的に震災復興の一助としたいということでした。愛知県連盟は、東日本大震災の発生翌年から県大会出場拳士への参加賞に福島県産のお米を活用してきました。原発事故の風評被害に少しでもお役に立てればとささやかながら息の長い取り組みにしようと始めましたが、今年で6年目を迎えることができました。皆さんからの評判も良く、すっかり県大会に定着した感があります。何でもそうですが、何かを“続ける”ことは実は大変なことです。自分にとって有益な(ためになる)ことだと実感できることや、自分の好みに合っていることであっても続けることで生じる何某かの負担感が蓄積されると徐々に続けることが難しくなっていきます。明確な目的・目標があっても、本人に強い意志があったとしても物理的な条件が絡むこともあって・・・です。小・中・高・大・就職という成長過程における節目で修行を続けることが難しくなり、やがて遠ざかっていくケースを耳にします。しかし、生活サイクルの変化で一時的に道場から遠ざかり通えなくなっても毎日の生活の中で「教え」の実践を続けることができれば、それこそが開祖が目指された「人づくりによる国づくり」に通じる修行の在り方に繋がっていくのではないかと思います。拳士にとっていついかなる状況においても常に少林寺拳法の優先順位が高く、必要とされる取り組みであり続けることが普及・布教する側にとって最も重要な要素であることは間違いありません。修行目的の確立、修行の在り方を拳士一人一人に根付かせる重要性を再認識させられます。少林寺拳法が真に生きるための拠りどころとなる存在であり続けることこそが生涯修行を可能にする要素になると感じています。
さて、去る6月9日に今秋の全国大会開催会場を使用しての東海大会を、近隣県からの参加者も加わる中で何とか終えることができました。皆さんのご協力にあらためて感謝申し上げます。初めて使用する会場で全国大会に向けたいくつかのシミュレーションを行うという目的をもっての取り組みでしたが、本番に向けて様々な課題が浮き彫りとなった大会になりました。大会終了後の疲労感満載の中で採点・集計システム会社のスタッフ、本部職員と共に問題点の抽出とその改善方法について検討会を行いました。個々の役割を見直すことも含めていよいよ残り5ヶ月足らずのラストスパートに入っていきます。県内所属長の皆さんには各地区の役割に一体感をもってご協力をお願いするところですが、その一助となる「ワンコイン寄付」の取り組みにもご協力をお願いします。事務局からも再三呼び掛けておりますが、所属内での積極的な展開をお願いします。
言うまでもなく、全国大会の開催は部外に向けた少林寺拳法の広報と部内組織の活性化に寄与することです。他のスポーツや武道との識別化も重要な目的の一つです。何よりも少林寺拳法を“行じる”私たち自身が少林寺拳法の持つ存在価値や独自性を存分にアピールする場として活用していかなければなりません。“誰が”ではなく“何を”成すべきかにこだわって準備を進めていきます。
今大会は15年前のナゴヤドームでの開催とは異なり宿泊施設の半分以上が名古屋市内となり、会場までのアクセスが約1時間かかる立地条件です。豊田市内とその近隣市町の宿泊施設は全国から来られる拳士や関係者の皆さんのために優先的に使っていただくために県内の皆さんのご協力を切にお願いします。なお、宿泊やお弁当、入場整理券や祝賀会に関する申し込みは『日本旅行予約サイト』(「2019年少林寺拳法大会inあいち」専用サイト)を窓口にします。公平感を保つために全国都道府県での代表拳士選抜大会終了後に予約サイトをオープンしますから今しばらくお待ちください。
2020年度から本実施となる武専改革に向けて試行錯誤が続いています。急激な変化はどうしても違和感が生じることから従来と大きく変わらない内容で5月に第1回目の“愛知県修練会”を催しました。“僧階学習”とベテラン道院長による“開祖を語る”を軸にした座学を午前中に配して「今伝えなければならないこと」をテーマに引き続き取り組んでいくつもりです。今月21日の第2回愛知県修練会では山口西京道院の長田先生をお迎えして開祖を語っていただきます。受講者の反応も参考にしながらの取り組みとなります。否定的な意見も耳に届きますが、まずはできることから実行していくつもりです。前向きなご意見をお寄せください。
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再拝
2019 年 7月 10日
愛知県連盟理事長 多月 文博