合掌
『対岸の火事』と『他山の石』。対義語に近い印象の“ことわざ”ですが、用い方によっては類語としても扱われる場合もあります。「自分には何の関係もなく、痛くもかゆくもない」という『対岸の火事』、「他人の良くない行いも自分を高めるための行いに参考にする」という『他山の石』。しかし、『対岸の火事』を自分自身に関係のある事のように用いることで‘無関係’から‘戒め’とする意味を持たせることもできるので類語にもなるように思います。“渦中(火中)”にいながらそのことに気づかないで取り返しのつかない結果を招くということはとても不幸なことです。当事者個人がしっぺ返しを受けるだけならまだしも、自分が所属する組織やもっと大きな単位で言うところの国や世界に不利益がもたらされるような結果を招くのであれば、まさしく取り返しのつかないことになります。何かあったときに『対岸の火事』を決め込むのか、『他山の石』とするのかで結果は全く異なるものになってしまいます。そういう意味では「逃亡犯条例」改正案反対をきっかけとして始まった香港デモが、対中警戒感から「香港デモ」を支援する動きが台湾にも拡がっていることや、先ごろニューヨークで行われた国連の気候変動サミットでのグレタ・トゥーンベリ(16歳・スウェーデン人)さんの怒りのスピーチに対するアメリカ・トランプ大統領の対応(ツィート)は私たちに多くのことを投げかけているように思います。見廻せば『対岸の火事』で済ませてはならないことが私たちの日常に多く存在しているのではないでしょうか。起こった事象の本質や方向性を見抜く力以前に何を最優先の価値観とすべきかの判断がその先を大きく左右するように思います。発生から8年が経過した東日本大震災に起因した福島第一原発事故を機に世界は一部の国を除いて自然エネルギーの活用へと大きく転換を図ろうとしました。未曽有の自然災害に連動した原発事故を『対岸の火事』としなかったからです。しかし、当事国だった日本はというと、相変わらずエネルギーの原発依存を変えないばかりか、原発の海外輸出を官民一体となって推進してきました。その結果、この分野での立ち遅れが歴然となり環境問題に関しても明確な取り組みを発信できずにいるように思います。当事者でありながら『他山の石』とすることなく、まるで『対岸の火事』のように受け止めているのではと指摘されても仕方ありません。世界的な枠組みの中での我が国の判断・発言には常にアメリカとの関係性が絡んでいるように感じてしまいます。日本が日本らしいリーダーシップを果たせることを期待したいところですが、『良いことは良い 悪いことは悪い』と言うことの難しさは私たちの想定をはるかに超えるものなのでしょう。
さて、9月28日(土)に全国理事長会議(全国教区長会議同時開催)が開催され、喫緊の諸課題に対する一定の結論が報告されました。10月20日(日)の所属長会議で詳細報告すると共に今後の対応についても理解していただかなければならない内容を説明する重要な機会となるので、全所属長の出席をお願いするつもりです。
いよいよ全国大会開催まで2ヶ月を切りました。一昨年末に開催が決定し、準備に伴う県内所属長の負担を極力抑えるためにほぼ実行委員会の中で進めてきたことで、「本当に2ヶ月後に開催するのか?」といった質問まで事務局に寄せられています。毎月の所属長会議の中で折に触れて企画や進捗状況を説明してきたつもりですが、伝わりにくく理解しにくい部分が多かったと反省しています。ただ、そもそも開催県として手を挙げる時に、皆さん方の手を極力煩わせることがないように準備を進めるという方針でいたので、15年前のナゴヤドーム開催時とは緊迫感がまるで違ったものになっているとは思います。しかし、毎月の地区会議で各地区の役割分担をはじめ運営スタッフの選定も進められています。スタッフジャンパーも10月20日に配布する予定です。各所属長におかれましては少なくとも開催両日の出欠は確定していることと認識しています。全体像が見えないというご指摘には今月の所属長会議でもフォローしていきたいと思います。県連HPの「全国大会バナー」から接続される「日本旅行の申し込みサイト」は、ホテルについては10月11日(金)17時まで、祝賀会・弁当・入場整理券は10月27日(日)まで延長することになっています。ご確認ください。
『集中』と『分散』を意識しながらここまで進めてきました。残りの1ヶ月は一気に担当する役割を理解し、展開していただき当日に備えていただきます。一体感をもって全国からの仲間を迎えたいと思います。ご協力をお願いします。
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再拝
2019 年 10月 1日
愛知県連盟理事長 多月 文博