合掌
愛知県独自の緊急事態宣言(8/6~8/24まで19日間の自粛要請)が予定通り8月24日に解除されたことを受け、各所属の活動も一斉に再開されたことと思います。中には、自粛継続の拳士もおられるかもしれませんが、大方は久々の稽古でしっかり汗をかかれたことでしょう。しかし、依然として“3密”を避けるために相対演練抜きで単演中心のメニュー、飛沫感染を防ぐために気合は出さず、手指消毒に手洗い・うがいと相変わらず窮屈な稽古を強いられています。相手と接触せずに距離を保ったままで行う稽古は、面授面受で手を取り合って行うあるべき姿とは全くかけ離れており、特に少年部の拳士たちにとってはなかなかイメージしにくく難しい取り組みになっていることと思っています。
7月5日(日)、3月以降中止していた昇格考試(昇段)を久しぶりに愛知県武道館(単独使用)で開催しました。3月~6月の受験申込者に対して再度受験の意思確認を行い、80名を上限として会場を3ヶ所に分けて実施しました。相対で技を掛け合うことなく単独で守者・攻者両方の動きを示させてその習熟度・理解度を判定するという審査方法だったため、「何となくこんな形」で臨んだ受験者にとっては技が正確に理解できていないとなかなか対応できていないという光景も見られました。習熟度にかなり個人差があったように見られました。受験者本人が現状の到達点を確認する要素が強い取り組みではありますが、繰り返し課題をクリアできるように各所属でのご指導をお願いしたいと思います。9月6日(日)、コロナ禍での二回目の昇格考試(昇段)を開催しました。7月に続いて他団体の施設使用もなく、エントランスで人込みが生じることなく“3密”を避けて安心して行うことができました。受験者は67名、前回と同様に大道場のほかになぎなた道場と剣道場の3ヶ所を使っての審査でした。ちょうど9月1日付で感染拡大防止に関するガイドラインがグループから更新されたタイミングでもあったので、考試員をはじめ当日出席された所属長と今後の対応について意見交換を行うことができました。約7割の所属長から「10月からは通常のスタイルに戻してほしい」との意見が出されましたが、受験準備する拳士の負担を考慮して現状維持の要望も少なからず出されました。審査方法が頻繁に変更されることがないようとの要望もいただきました。
今回更新されたグループのガイドラインでは「10月以降は通常の審査内容による昇格考試とする」と示されていますが、8月2日付の県連通信20-02で「9月・10月の昇格考試は事前レポートと接触を伴わない実技で審査する」との通知を出していた経緯もあるので、10月度の昇格考試については今月同様のスタイルで実施することとします。事務局からの一斉通信でもお知らせします。
さて、11月に行われるアメリカ大統領選挙の行方が非難の応酬によって日ごとに高まっていく中で安倍首相が突然(8月28日)辞意を表明しました。持病の再発という健康上の理由のようですが、“モリ(森友)・カケ(加計)・サクラ(桜を見る会)”の疑惑三点セットに見られる国政の私物化、前代未聞の公文書の隠蔽や改竄といった社会の倫理観を大きく揺るがした問題が突然の後継者選びによってかき消されていくように思えてなりません。
「“人、人、人、すべては人の質にあり”他の犠牲において自己の幸福を得ようとする心を捨て去り、相互の信頼と愛情を深め、理解し合い助け合い、手を握り合って理想の楽土を確立すべく個々の人間が己の人格を高める努力をする。全てのことが人によって行われるとするならその立場に立つ人の質を変える以外に世の中を良くする方法はない」少林寺拳法創始当初から一貫している考え方に尽きます。
今、世界は差別と分断の嵐にさらされています。コロナ禍においても“マスク警察”“自粛警察”なるものが出現して自分の行動や考え方に反する他者を力で一方的に否定することがある意味正義として行われています。そんな中で、拠りどころとなる自己を確立することの大切さと難しさをいまさらながら痛感します。
再拝
2020年9月7日
愛知県連盟理事長 多月 文博
(愛知県UNITY運営委員会委員長)