2021年10月 理事長通信(更新)

合掌

10月4日、和歌山市・紀の川に架かる六十谷(むそた)水道橋と呼ばれる送水管の一部が崩落する映像がテレビのニュースで流れました。原因は経年劣化のようですが、この崩落事故によって一時的に市内約6万戸に断水被害が出ました。続く7日夜、今度は首都圏を中心に(震源地は千葉県北西部)最大震度5強の地震が発生して水道管からの漏水、ブロック塀や外壁の落下、鉄道の運転見合わせで帰宅困難者が出るなど大きな混乱が広がりました。そして10日、JR東日本の基幹変電所(埼玉県蕨市)で起きた火災で首都圏の10路線が停電による運転見合わせで23万6千人に影響が出ました。水道管をはじめ橋やトンネル、変電・配電施設等々の生活インフラの老朽化については以前から人身事故にもつながる等全国的に問題となっていますが、こと水道管に限ってみても老朽化による水道管事故が2018年度で21,672件報告されているとのことです。1960年代以降に全国で敷設されている水道管の総延長は721,873kmに及び、法定耐用年数40年を超える部分はその17.6%、そして更新されているのが0.68%にすぎないというのが現状のようです。更新率の低さは何といっても地方自治体の予算配分の優先度事情が大きいのでしょうが、蛇口をひねりさえすればいつでもふんだんに飲み水が出るこの国の生活環境が危機意識や優先順位を見落としているとも言えます。インフラのメンテナンスはドローンやAIの導入で機械化が進んできているとは言ってもまだまだ人的な目視点検が通常で、例えばトンネルの点検は夜間・片側車線規制による目視と打検による確認作業が主な手法と言われています。いわゆる聴診器で診断して異常があればレントゲン撮影によって異常を見つけ出す方法が一般的です。建設業界では建物本体に比べて水道・電気・ガスは付帯設備としてともすれば軽く扱われがちですが、日常生活に密着しているためひとたび機能不全に陥ることになれば大変な混乱を招くことになります。10年前の東日本大震災やこの度の地震のような自然災害による停電や断水はその最たるものです。常日頃から非常時を想定してあらゆるインフラの劣化状況を把握しておくことはもちろんですが、予防保全の観点から早目の設備更新が機能不全を未然に防ぐためには欠かせない方策と言えます。昨年来のコロナ対策で明らかになった我が国の医療体制の脆弱さ(保健所も含めた“人”“モノ”不足)をはじめ、この2年間の対応をしっかりと総括して次波に備えることが喫緊の政治課題ともなっています。過去の事実から導き出された教訓を未来にしっかりと生かすことは全てのことに通じることではないでしょうか。

さて、新規感染者数が劇的に減少傾向に転じていますが偶然なのか必然なのか何かすっきりしません。そんな中、今月末31日の投開票に向けてメディアの発信が衆院選挙モード一色になってきました。新型コロナウイルスの新規感染者数が減ったから“結果オーライ”では困ります。自民党総裁選から続く一連の政治の流れはここ数年間の“安倍・菅政権”の負の遺産隠し、与党政権の党利党略という見方が多く聞かれます。与野党含めて政治家諸氏にはこの数年間に無くしたものの大きさをしっかりと受け止めて今後に活かしてほしいものです。あわせて有権者にとっても自分たちに与えられた義務をしっかり果たすために無関心は絶対に許されません。この数年間の政治への評価をきちんと下す機会の重さを忘れてはならないと痛感しています。

県連ではこの時期既に2022年度の施設確保に向けて取り組んでいます。世の中も様々なイベントの実証実験が緩やかに動き出しました。いきなりコロナ禍以前の状況に戻ることはないにしても来年度のグループ行事予定表案を見る限りリモート会議の定着や諸行事の地方開催を駆使した行事予定が掲げられています。対面での行事を自粛してから久しくなりますが、来月からは行事を再開していきます。引き続きご協力をお願いします。

 

2021.10.14

愛知県少林寺拳法連盟 理事長 多月 文博

(愛知県UNITY運営委員会委員長)




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