合掌
最短期間で一気に梅雨が明け、これも気候変動が原因なのでしょうが、日本列島は連日厳しい暑さと突然の天候の急変に見舞われています。加えてロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて電力の逼迫をはじめ、エネルギー・食料といった生活に直結した分野での品不足や価格の高騰が私たちに戦火をより身近なものに感じさせるようになってきました。軍事侵攻から5ヶ月近くが経ち、戦況が長期化する見通しもある中でウクライナに対する欧米各国の“支援疲れ”も危惧されています。地球を痛めつけるかのようなロシアの容赦ない無差別攻撃によるウクライナの戦災復興にかかる費用は日本円にして100兆円を超えるとか。原因者にはそれなりに理由があるにしても、あえて言うならたった一人の力の信奉者(市民の犠牲者を顧みない)によって国際秩序が崩壊の危機に瀕していることは言うまでもありません。極論を言えば、一人の狂人の独りよがりな行為に対して心ある人たちが収束のための一手を打てずにいるという構図、核兵器をちらつかせながらの威嚇行為に対して断固たる措置がとれずにいる状況に忸怩たる思いがつのります。
「世界には人間の命より大切なものはなく、あるはずもない。相互の尊重と双方の利益に基づいた交渉と対話のみが最も深刻な対立や問題を解決できる唯一の方法だ」 (2/26付ゴルバチョフ財団声明) |
停戦に向けたロシアの良心を期待するしかありませんが・・・。二十一世紀のこの時代に誰もこの暴挙を止めることができないばかりか、“命の消耗戦”を前にただ立ちすくむことしかできない無力さは世紀末の様相さえ漂わせているような気がします。平和な日本に暮らす私たちは今の日常にただ感謝することしかできないのでしょうか。
さて6月27日、連盟本部から「役員の変更について」として“6月19日付で川島会長退任”の一報が飛び込んできました。かねてから療養中だったとの退任理由の説明でしたが、正直言って驚きはもちろんのこと私自身は唐突さを感じました。新井前会長の役職定年を受け、全幅の信頼と期待を背負って組織を継承された川島会長(あえてここでは「会長」と呼びます)ですが、実は6月19日に開催した愛知県大会への臨席が一旦は決まっていました。愛知県連盟の部外役員が一新されて初めての県大会ということで、私たちの取り組みをアピールする絶好の機会だと理解していただき、他のスケジュールを調整してまで来名を約束していただいていたのですが、5月9日に急遽変更連絡が入るという経緯がありました。5月14・15日に本山で開催された道院長研修会でもお会いできていたので、療養中だったとはにわかには信じられませんでした。とにもかくにもこの度の一報には驚きしかありません。
そんな中、参院選期間も終盤となった7月8日金曜日、遊説先の奈良県内で応援演説中の安倍晋三・元首相が凶弾を受けて倒れ、その後亡くなるというショッキングな事件が世界中に流れました。銃社会とは無縁の世界的にも治安が良いとされている日本にはおよそ似つかわしくない突然のこの出来事は、まさに世界中に衝撃を与えました。犯人はその場で直ちに拘束され、その後の調べで動機や背景が少しずつ明かされてきていますが、今回の事件はどうやら参院選絡みの安倍元首相の政治信条に起因するものではなく、犯人の家族の宗教活動によるものらしく、事件の全容解明が待たれるところです。ただ、犯人の言う“宗教団体”というフレーズが独り歩きし、取り上げられ方によっては様々な憶測や展開を生み出すことにもなるので注視していく必要があると思っています。当然ですが、“宗教とは何か?”にきちんと答えることが求められます。
2022.7.11
愛知県少林寺拳法連盟 理事長 多月 文博
(愛知県UNITY運営委員会委員長)