合掌
集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が3月29日に施行されました。戦後日本が維持してきた「専守防衛」の政策を、時の政権が唱える「積極的平和主義」の名のもとに昨年9月の通常国会で採決を強行して成立させたことはまだ記憶に新しいところです。安全保障関連法は、集団的自衛権行使を認める改正武力攻撃事態法など10法を束ねた一括法「平和安全法制整備法」と自衛隊をいつでも海外に派遣できる恒久法「国際平和支援法」の2本からなります。日本が直接武力攻撃されなくても自衛隊の武力行使が可能となり、自衛隊が戦争中の他国軍を後方支援できる範囲も格段に広がりました。しかし、安全保障環境の悪化を挙げて強行採決までして法成立を急いだのに、ここにきて同法に基づく自衛隊への新たな任務の付与は夏以降に先送りされることになっています。世論の反対が強い中での適用が今夏の参院選に影響するとの考えのようです。振り返ってみれば、特定秘密保護法の強行採決、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」の閣議決定に加えて沖縄の米軍基地移転問題や朝日新聞に対する一連のバッシング、“電波停止”発言をはじめとする言論弾圧ともとられかねない政権の特定報道番組への介入等々、とにかく強権政治がまかり通っているとしか言いようのない状況が続いています。一方、4月1日から始まった電力自由化ですが、発生から5年が経過した東京電力福島第一原発事故の処理費用の多くが電気料金や税金で贖われているということに私たちは意外と気付かされていません。現時点でも総額が12兆円を超えるとされている事故処理費用のツケ回しの実態が国民には見えにくくなっているということです。原子力損害賠償法は事故を起こした事業者が賠償責任を負うと定められています。制度上は東電が負担しているかのように見えますが、実態は巨額の賠償金を自前で払いきれない東電は国からの資金交付を受け、建前上は国に返済しなければならない。被害者への賠償費用は東電に加えて原発を抱える全国の電力会社が電気料金に上乗せするなどして少しずつ返済しているという仕組みです。除染費用は、政府が1兆円の税金を投じて作った原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有する東電株の将来の売却益で返済するとのこと。除染土等放射能汚染物質の中間貯蔵施設の費用に至っては約30年間にわたって年350億円ずつ税金が投じられるということです。どれもこれも本来は国民に還元されるはずの利益ですが、どれもこれも国民に対する“説明責任を果たす”ということが軽んじられていると言えます。原発再稼働に関する住民訴訟への司法判断も分かれています。やはり、事故原因が究明・特定されないでいることが全てに影響を及ぼしていると言えます。
さて、月が替わって2016年度が始まりました。新井庸弘前財団会長の後を受けて川島一浩新会長の手腕に期待が集まります。長年にわたって新井前会長を支えてこられた荒井振興普及部長もWSKO事務次長に異動となりました。組織の永続性を図るためには世代交代は欠かせません。前後を含めるとほぼ6年間に及ぶ組織機構改革を経てグループ内の環境整備が完了したとされる今、活性化に向けて地方組織が果たす役割が問われます。昨年の9月以降、愛知県内全所属のポータルサイト構築を目指した計画が進行中です。先月には、県内所属の大半を占める道院について“愛知県教区”サイトを先行して立上げ、現時点で43道院のサイトが立ち上がっています。先日行われた所属長会議には、この計画のお手本となった大阪府教区からIT推進委員長の北野先生(大阪高槻道院長)にお越しいただき、この取り組みの目的や可能性についてお話していただきました。組織を活性化させるためには個々の所属の活性化が欠かせません。そして、そのためには所属長を中心に拳士・保護者を巻き込んだ取り組みが必要不可欠です。何よりも、組織機構改革を何とか凌いできた愛知県のスケールメリットを生かすためにも全所属の結集が必要です。愛知県連盟・愛知県教区・愛知武専を一体化したサイト構築により、“少林寺拳法”を検索ワード入力したときに“shorinji-aichi.jp”が一番にヒットする・・・。そんな取組みを今年は加速していきたいと考えています。今月24日には定期総会・全体会議が開催されます。昨年度愛知県で2回開催した“部長・監督資格認定研修会”を受講していただいた16名の拳士による支部新設の支援、秋に開催される大分県での全国大会派遣拳士のための支援についても提案させていただきました。会費・広告費の減額提案に対する事前質問も寄せられているようです。執行部提案に対して忌憚のない議論を交わし、しっかりと説明責任を果たしたうえで今年度も県連運営に努めてまいります。
引き続きご協力をお願いします。
再拝
2016 年 4月 7日
愛知県連盟理事長 多月 文博