2月 理事長通信

合掌

 自らの限界に挑戦し続ける姿は多くの人々の感動を呼びます。韓国・平昌で開催されている第23回オリンピック冬季競技大会には世界92ヶ国、約3000名の選手が15競技102種目にエントリーしており、日本との時差がないこともあって毎日よりリアルにそしてタイムリーに感動が届いています。“スポーツの祭典”とも呼ばれるオリンピックは個別の競技種目ごとの世界大会とは異なりそれぞれの競技が持つ独自性を目の当たりにすることもでき、この一瞬にかけてきた選手たちの思いや努力の積み重ねの大きさにも感動させられます。挫折からの復活、選手生命を断たれるような怪我からの復帰と、国を超え競技種目を越えて人間が持つ力の偉大さにあらためて気づかされます。大会はまだ終わっていませんが、日本選手で注目を集めた男子フィギュアスケートの羽生選手、女子スピードスケート500mの小平選手、女子スキージャンプの高梨選手をはじめメダルに手が届いた選手だけではなく、届かなかった選手、他国の選手も含めて参加選手全てから久々に爽快感がもたらされているように感じます。北朝鮮との政治色の色濃さが何かと注目を集め論じられ続ける今大会ですが、小平選手とこの種目の世界記録保持者でありオリンピック三連覇を目指した韓国の李相花のレース後のシーンが多くの人の感動を呼んでいます。競技であるいじょう勝者と敗者が生まれるのは当然のことですが、“勝つためにはどんな手段を使っても”という心の動きが生まれることは国際大会であっても同じ、むしろ強くなることさえあるのかもしれません。ロシアのドーピング疑惑も一つの象徴であるように思います。そんな中で、お互いの努力を認め合い、健闘をたたえあう姿はやはり美しく多くの感動を呼びます。その中心に日本人選手がいることに誇らしさを感じた日本人も多かったのではないでしょうか。

ある作文コンクールにおいて評価された小学校6年生の剣道少年の作品が目に留まりました。『残心』と題された文章の中にこんな一節がありました。

 

『僕は幼稚園の頃から六年間続けている剣道の稽古で、何百回いや何千回も残心という言葉を耳にしてきた。だが、その意味を深く考えずに過ごしてきた。“残す心”と書いて残心。先生が言うには技を打った後に腕を伸ばして抜ける。そして抜けた後には相手の方に振り返り、もう一度竹刀をスッと構え直すということだった。でも腕を伸ばすだけなら残心という言葉でなくてもいいような気がする。何で「心」という文字が入るんだろうと思っていた。・・・ぼくは先生の試合を見ていて、残心とは単なるポーズではなく心構えなんだと思った。剣道は相手がいるからこそできる武道だ。そのありがたさをお互いに感じ合い、どんな試合でも相手に感謝をする。それも残心だということが感じられた。僕の尊敬する先生は七段になってもまだ剣道について学び続けると言っていた。・・・まず今日からは残心の心を大切に持つことを意識して剣道に向き合っていきたい。』(新聞記事から一部抜粋)

 

「何のために少林寺拳法をやっているのか?」

私たちは身をもって「大切なこと」を伝えることができているのだろうか?

常に自らを振り返ることの大切さをあらためて思い知らされた気がしました。

 さて、先月号でも少し説明しました“武専の運営母体が2018年度より禅林学園からSHORINNJI KEMPO UNITY(以降、文中ではUNITYと表現)に移行される”ことに伴い、先日(2月17日)本山にてUNITYと禅林学園による「武専・UNITY運営会議」が開催されました。会議の詳細については2月25日に開催する所属長会議にて説明しますが、専門学校禅林学園の閉校、全国35地区の“武専コース”運営を各都道府県連盟に委託するのではなく「UNITY運営委員会」という新たな組織を作って運営するに至った経緯などが説明されました。今回の会議については、私にとっても昨年末からの急な展開もあって完全に理解できたとはとても言い難い内容ではありました。組織機構改革以降、その目的であった“組織の区別化”をより推進するためには多くの課題があり、“組織の一体感と組織の区別化”との相反する運営体制構築に苦心しながら現在に至っているわけですから、このタイミングで組織を新設して既存の業務の一部を新組織に移管するという根本的な判断も含めて理解できない部分が多くあります。特に、UNITY、宗教法人、一般財団法人の役割分担を根本的に理解することが今更ながら求められているような気がしています。愛知県から提出した事前質問は川島理事(UNITY)からの説明で大半は理解することができましたが、坂下教頭(禅林学園)からの「武専は金剛禅の教育。しかし安定的な施設確保を考えると宗教法人では難しい。よって教育内容から言っても一般財団でもなくUNITYが担うことが一番理にかなっている」という説明には違和感が残りました。

会議の全体を通して2018年度は試行的な位置づけで、2019年度からの本実施に向けて諸問題に対する方策を固めていくというような方針と受け止めました。運営規約も示されていない中での地方組織の新設。どういう形で2018年度の「愛知県UNITY運営委員会」活動内容を皆さんに示して認めていただくのかも全く見えていませんが、新年度のスタートを切らなければなりません。毎月開催される昇格考試、武専共に一部スケジュールの変更等はあるかもしれませんが、原則的には内容は変わらないと理解してください。昇格考試受験者、そして武専学生の皆さんに影響が出ないように早急に準備を整えていきたいと考えています。多くのご質問やご意見等が予想されますが、その都度わかる範囲で応じていきたいと考えています。引き続き、ご理解・ご協力をお願いします。

※少林寺拳法“グループ愛知”ポータルサイト構築計画に伴い以下のサイトが立上っています。

 

(愛知県連盟サイト:https://shorinji-aichi.jp/wp/kenrenにて紹介)

  ■11支部サイト掲載(スポーツ少年団・大学・実業団)

 

(愛知県教区サイト:https://shorinji-aichi.jp/wp/kyoukuにて紹介)

   ■54道院サイト掲載

 

再拝

2018 年 2月 20日

愛知県連盟理事長 多月 文博




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