合掌
このところ高齢者ドライバーの絡む交通事故が絶えません。幼児が被害者となるケースも重なっています。怒りの持っていき場がない理不尽さに関係者だけでなく心を痛め、ただ悲しむことしかすべがないことも同じです。被害者がどういう基準で誰にどうやって決められるのか? 答えのない問いかけを繰り返すしかない堂々巡りが続きます。人に限らず生命に軽重はありませんが、特に幼い命が理不尽に消えていくことには悲しみが一層つのります。歩行者をはじめ交通弱者に対する配慮が世界的にも劣っているとされる日本。ここにも他人に対する感性が問われているように思います。
さて、5月11・12日の両日、全国道院長研修会(一次)が3年ぶりに開催されました。開祖忌法要が行われることもあって参加者は多く、管長講話の中での説明は430名ということでした。部長・監督研修会も同時に開催されましたが、交わることなく全く別メニューでの運営でした。内容的には「各種ハラスメント」「道院経理」について顧問弁護士と顧問税理士がそれぞれ担当され、社会環境の変化に組織が一体となって敏感にかつ迅速に対応していく必要性が説かれました。今回の研修会テーマは個人的には大きく分けて三点。「広報の在り方」「後継者づくり」、そして「コンプライアンス」だと捉えました。超少子高齢化社会の到来や組織機構改革のタイミングもあってグループ組織が急激な縮小化傾向にある中で、金剛禅布教の在り方を模索し現状を打開しようとする組織の苦しさは当然のことながら本山も地方も、そして各道院も変わりありません。各県教区の取り組み報告やテーマ別のディスカッションも組み込まれていましたが、時間の制約もあって中途半端に終わったように感じます。組織の根幹に関わる課題ですから実効性のある施策がポンポン飛び出すわけではありません。個人的にはもう一度原点に立ち返って布教者としての自覚を振り返ってみることから始めてみようと思っています。
組織機構改革以降、法人の区別化でグループ組織内の役割が明確にされています。今回の道院長研修会では秋(11月23・24日)に愛知県で開催される全国大会について触れられる場面はありませんでした。配布資料の中にA4サイズ1枚の大会要項が入っていただけでした。道院長研修会ですから他の法人(一般財団法人)の行事説明をする必要はないという考えかもしれませんが、組織の役割分担の中で少林寺拳法を部外にアピールすることでの効果としては全国大会やインターハイをはじめとした高校・中学の取り組み、つまり一般財団法人の活動に勝るものはないのではないかと思っています。しかも、全国大会に出場する拳士はその大半が道院拳友会所属拳士であることを考えれば二日間の研修日程の中で5~10分程度の説明時間が捻出できなかったのかいささか疑問です。各法人の独立性を高め、区別化を明確にすることの意味は十分に理解しているつもりですが、同じグループ内組織の全国的な行事の案内すら触れないという今回の対応は理解に苦しみます。実際、多くの参加者から“全国大会アピール”がないことに対して「違和感がある」という声と共に大会準備の進捗状況や会場へのアクセス、宿泊ホテルの確保状況等々、たくさんの問い合わせをいただきました。イベントへの盛り上げのためにと早々に仕上げた大会ポスターの掲示された場所は事務所上の錬成道場の入口ということで、今研修会の大部分の日程が行われた講堂や本堂ではなく研修会参加者全員の目に触れる場所でもありませんでした。こんなところにも組織の活性化を阻害するような問題が潜んではいないでしょうか? いずれにしても主管する立場の愛知県としては非常に残念でした。願わくば二次以降の同研修会での柔軟な対応を期待したいと思います。とりあえず、当初の計画通り県連ホームページに貼ってある全国大会バナー「2019年少林寺拳法全国大会inあいち」にアクセスして最新情報を確認していただくよう手当たり次第にお願いをしてきたところです。
来月9日には愛知県の代表拳士が選出されます。全国大会のプレ大会としてタブレット端末を使った0.5点単位の採点集計システムが適用されます。式典内容をはじめ随所に秋の全国大会バージョンを試すつもりです。県内の拳士におかれましては大会出場に限らず15年ぶりに開催される全国大会への積極的な参画をお願いします。
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再拝
2019 年 5月 15日
愛知県連盟理事長 多月 文博