合掌
指導者層の高齢化によってグループ組織においては次世代への継承が叫ばれ続けている中、愛知県においては2017年5月に高橋法昇先生(前/名法道院長、初代愛知県連盟理事長)、同年10月には徳嶋繁先生(前/豊橋道院長、第二代愛知県連盟理事長)、そして去る7月29日(火)、前/熱田道院長であり第三代愛知県連盟理事長の藤田昌三先生(大範士・九段・本部66期生)が急逝され、83年間の生涯を閉じられました。この地方の少林寺拳法の礎を築かれた偉大な先輩方を立て続けに失なってしまいました。藤田先生は香川県三豊郡大野原町(現・観音寺市)のご出身で、少林寺拳法が創始されて7年後の1954年に入門、仕事の都合で愛知県に移られてからは1965年に一宮道院、1968年には熱田道院を設立されて以降、県内外を問わず20名近い道院長を輩出、東海地方における少林寺拳法の布教・普及に尽力されました。「続けることに人を育てる基礎がある」とおっしゃっておられたことが私の中には残っていて、とにかく一つのことを続けることの大切さを説き続けられた指導者だったと感じています。いつも穏やかでにこやかに接していただき、私にとっては本当に親しみやすい、温かい先生でした。県連理事長になってからも「悪いことしてるんやないんやから、思った通り自信をもってやったらええんや」と、折に触れて背中を押していただいていたような気がします。道院長交代された後も公私を問わずいろんな行事に参加してくださり、いつも温かく見守っていただきました。門弟の方々に囲まれ笑顔を絶やされない姿は私たち後輩道院長にとっても目指す姿でもありました。決して偉ぶることなく大所高所に立ったアドバイスに幾度となく肩の力を抜いていただいたような気がしています。心よりご冥福をお祈りしたいと思います。
さて、世界は数年前から内向きの社会に向かっています。“自国最優先”“自分さえよければ良い”という考え方は他者を受け容れない閉鎖的な社会を形成していきます。他国との関係はもとより自国内でも分断を生み出します。トランプ政権になってからのアメリカ、EU離脱問題が契機となったイギリスをはじめただお互いの考えをぶつけ合い非難し合うだけでは妥協点を見出せるわけがありません。行き着くところは破滅しかありません。8月6日、広島に原爆が落とされた日から74年を迎えました。米ロで保有する世界の9割(計1万2千発以上)を占める核兵器の存在。核なき世界への希望がますます細っていく現状を私たちはどうすることもできないのでしょうか。
今秋11月23日(土)・24日(日)に開催する全国大会のテーマは『原点回帰 半ばは自己の幸せを 半ばは他人の幸せを』です。原点を見つめ直し、私たちは何を目指す組織なのかを自らを含めて問いかける機会にすべく掲げました。心底“半ばは他人の幸せを”考えるということはどういうことなのかを。先月行われた参院選挙期間中にも候補者同士、政党間での誹謗中傷や非難合戦が絶えませんでした。世の中全体が他者を貶めることでしか自分たちの主張を表現できなくなってさえいるように思います。せめて自分たちの力が及ぶ身近なところから変えていくことに価値を見出していかなければならないとあらためて思っています。
明日8日から暦の上では立秋を迎えます。厳しい暑さをしのぎながら残り3ヶ月となった全国大会準備期間に全力投球です。引き続きご協力をお願いします。
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再拝
2019 年 8月 7日
愛知県連盟理事長 多月 文博