合掌
不寛容が先に立ち異文化摩擦や大国の自国第一主義が目に余ります。先日、トランプ大統領がデンマークのフレデリクセン首相との“デンマーク自治領のグリーンランド売買”についてのやり取りの不満から、デンマークへの公式訪問を急遽中止すると表明しました。一国の大統領が相手国の「発言が気に入らない(アメリカに対してそんな口のきき方はない)から訪問を中止した」とのコメントにはただただ呆れるばかりです。今、日本国内で社会現象となっている感がある“あおり運転”と大差ないことをアメリカ大統領がごく自然に行っているように私には思えてなりません。世界規模で内向きの社会が構成される中、国の内外を問わず“分断”や“対立の先祖返り”が常態化してきています。「使える核兵器」と言われる小型核の開発に余念がない状況。米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効したばかり。同じく新戦略兵器削減条約(新START)は2021年の条約失効までに継続合意がなされなければならない状況等々。トランプ政権、プーチン政権、習近平政権による世界の覇権争いの中心には依然として“先祖返り”の核戦力増強が見えてきます。そんな状況の中で「唯一の戦争被爆国」である日本のとるべき道はやはり核兵器禁止に向けた確固たる意志を示す以外の選択肢はないように思うのですが・・・。
さて、前述の“あおり運転”はネット上に“悪質行為のデータサイト”まで登場してくるなど、今も続々と被害情報や目撃情報が寄せられている状況になっています。法整備が急がれるところです。また、それと並行してSNSによる情報拡散の被害(今回の事件に関するデマ情報によって発生した人権侵害の問題)についても大きな問題となっています。利便性や手軽さから言えば私たちの生活環境は激変しました。途方もない便利さを手に入れた私たちは同時に人としてかけがえのないものを失う危険性と背中合わせだと思います。そんな中、長い夏休みを終えて小中学生が新学期を迎えます。二学期制を採用している学校以外は9月1日が始業式となりますが、この9月1日は近年、一年間で子供の自殺が一番多い日と言われています。今年はその日が9月2日になりますが、夏休み明けの始業式の日です。小中学生の自殺に関する原因の最上位に位置するのが「SNS」による個人攻撃です。ある意味、直接手を下すことなくバーチャルの世界で手軽に相手を攻撃することができるツールということなのでしょう。少なくても自分たちが関わる世界で不幸な出来事は防がなければなりません。と同時に、所属拳士にも自分たちの役割としてどうあるべきかも考えさせ、会話を重ねていくことで理解させていかなければなりません。助けるつもりが当事者になっていじめの標的にされることもあり、難しい問題ではあります。単純に正義感だけで片付く問題ではないことを私たち指導者も十分に認識して慎重に子供たちを守っていかなければなりません。何よりも保護者との信頼関係も欠かせませんね。
全国大会への道のりがいよいよ佳境に入ってきました。実行委員会は当然ですが、豊田市の所属長をはじめ幹部拳士による打合せは毎週行われているとの報告を受けています。大会会場の地元、会場に精通していることでいろんな役割を担っていただく豊田市の皆さん方のご協力にただただ感謝申し上げるしかありませんが、役割を分担している中では15年前の開催準備とは異なり「本当に3ヶ月後に開催するの?」と言われるくらい淡々とここまで進めてきたようにも感じています。台本をきちんと仕上げ、それぞれの役割を十分に組み上げたうえで一気にラストスパートという流れになります。再三お願いしている「ワンコイン寄付」への対応を含めて、全国大会開催の意味をもう一度理解していただいたうえで当日を迎えることができればと考えています。残り3ヶ月を切りました。地区理事を中心に積極的に関わっていただきたいと思います。
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再拝
2019 年 9月 1日
愛知県連盟理事長 多月 文博