合掌
ゴールデンウィーク明けの7日、政府は4都府県(東京・大阪・京都・兵庫)に出していた緊急事態宣言の期間延長(5/12~5/31)と新たに愛知・福岡の両県に対して三度目となる緊急事態宣言の発出を行いました。短期集中の措置として大型連休中に実施した4都府県(前述)への宣言でも思ったように感染拡大に歯止めがかからなかったための追加策と言われています。市中に拡がる変異種の脅威や相変わらず遅々として進まないワクチン接種(確保)の現状を見ると、結局のところ一年前と変わったのは国民をはじめ社会全体の疲弊と極端に悪化した医療現場だけではないかと思わざるを得ません。感染源とされた中国や欧米諸国の一部に見られる感染拡大の抑え込み状況や経済活動再開への動きと比べて我が国の現状は的確な対応がなされているとはとても思えません。識者によれば、インドの医療現場と何らそん色ない状況が大阪で起こっているとの分析にぞっとします。そんな中で愛知県への緊急事態宣言の追加発出となりました。市中感染が日常となった今はワクチン接種による集団免疫効果を期待するしかありませんが、少林寺拳法グループとしておガイドライン(2021年4月23日付)に則り感染リスクの軽減策としてまずは今月いっぱい「集会による活動不可」を一斉送信にて周知させていただきました。直近では5月30日に予定していた昇格考試と武専が中止になりますが、昇格考試については昨年と同様に特例措置が適用されるので通常通りに申し込んでください。武専については本部UNITYから対象回のカリキュラムの一部を動画配信してもらって各受講者には自学自習対応していただくこととさせていただきます。また、6月6日に予定していました全国中学生大会選考会については拳士の準備期間を少しでも確保するため6月20日午後からに延期させていただきました。(※県連事務連絡でもお知らせ済みです)
引き続き“感染しない 感染させない”取り組みが続きますが、ここにきて県内の所属からも複数拳士の感染が報告されているため、今一度「感染又は濃厚接触者と判定された場合の対処フロー」の確認もお願いします。全国中学生大会やインターハイ、そして全国大会in Tokyoの開催が現時点では決定していることもあって選考会に向けて焦る気持ちは理解できますが、まずは感染拡大防止策の地道な取り組みに尽きます。ご理解・ご協力をお願いします。
さて、「ジャーナリズムの不作為」という記事に目が留まりました。“メディアが報じるべき重大な事柄を報じない”ことを意図しているようなのですが、ジャーナリズムは単に“事象をスピーディーに正確に伝えることだけではなく、主張や批評する”という役割も担っていることから、最近特に主張すべきことを主張しない、議論すべきことを議論していないのではないかということを東京五輪の開催是非をめぐる新聞報道をあげて展開していました。確かに海外メディアの論調と比較して(国民性もあるのかもしれませんが)各社がそれぞれに明言しない傾向はあるかもしれないし、様々な世論の行き場として機能しているかは?です。デジタル化が加速する中で紙ベースの新聞が果たす役割は様々に論じられているところですが、各社の「社説」は存在価値を示すものだと思います。論点整理や核心に迫るためのアプローチの方向性は読者に対する最も重要なアピールポイントでもあります。感染拡大と東京五輪、そもそも63本の法案を27時間余りでまとめて審議すること自体の問題が指摘されているデジタル改革関連法案や名古屋出入国管理局で収容中のスリランカ人女性が死亡したことについての真相究明不足が指摘され国連人権理事会の徳部宇報告者や難民高等弁務官事務所が懸念を表明した出入国管理法改正案、そして実質的な改憲論議に発展することが強まったと言われる国民投票法改正案等々の重要法案についても私たちの日常とはかけ離れている感覚が強く、そうした中で成立していっているこの現実。将来に禍根を残す可能性が高いかもしれない多くの問題に対して自分自身が鈍くなって腰が重くなっていることを痛感します。
“良いことは良い 悪いことは悪い”というシンプルな生き方を目指す取り組みの大切さと難しさを改めて嚙み締めます。
2021.5.15
愛知県少林寺拳法連盟 理事長 多月 文博
(愛知県UNITY運営委員会委員長)