「理事長通信」カテゴリーアーカイブ

10月 理事長通信

合掌

愛知県教区のポータルサイトをご覧いただいているでしょうか?

道院ブログによって“見える化”された県内各道院の活動が、県教区のポータルサイトで一括してご覧いただけます。従来の県連・県教区ホームページはあくまでもそれぞれが単体で完結する内容となっており、県内に所属する個別の道院・支部の活動とは連動していませんでした。そのため、愛知県内における「少林寺拳法」の活動場所等に関する情報が必要な方たちにとっては、本山・本部、または県連事務局への問い合わせでしか得られないのが実情でした。特に、組織機構改革以降、公共施設で“少林寺拳法”を目にする機会がほとんどなくなった状況をどう打開していくか、拳士数の減少をはじめとした活動の停滞感・閉塞感をどう打開していくか等々、組織活性化に向けて大きな課題を抱えていました。そんな時に大阪府教区の取組を知る機会を得ました。大阪府教区では、「どこでも少林寺拳法が学べる」ということをコンセプトに、少林寺拳法を知らない一般の人たち、あるいはこれから取り組んでみたいと思う人たちにインターネットを活用して詳細情報を提供し、これまでは道院・支部の近所、口コミでしか増やすことができなかったのを「勤務先の近く」「通学の圏内」「週末利用」「近い世代がいる」「女性が多い」「高齢者でも取り組める」「駅から近い」「学校の近く」等々、様々な「自分に合った条件」に合う道院・支部を比較検討しながら探せるようにしようとの目的でポータルサイトを構築し、実際に稼働した結果についても手ごたえを掴んでいるとのことでした。早速、担当されている道院長から内容説明を受け、愛知県にとっても広報活動の一環として「ポータルサイト構築」が非常に有効な手段であると判断しました。早速、「愛知県ポータルサイト構築計画」をまとめ、昨年の10月に県内全所属長に提案して参加を求めました。現在、愛知県教区ポータルサイトへの参加道院は80となり、儀式行事はもちろん各道院の修練の様子も生き生きと報告されています。県内152所属のうち143道院という構成上、県教区のサイトを優先的に構築してきましたが、今年度は愛知県連盟のポータルサイトを構築中(すでに仮運営中で、複数の大学支部サイトがアップされてきています)です。ここには大学支部をはじめ各スポーツ少年団支部、愛知県高校連盟、東海実業団連盟にも参加を呼び掛けており、先行している「愛知県教区サイト」に「愛知武専サイト」を加えて“グループAichi”のサイト構築を目指した取組です。計画発案のきっかけとなった大阪府教区では、より自分に合った道院・支部に出会えたことで、転籍を経て休眠拳士や去っていく拳士を引き留める効果もあったと聞いています。少林寺拳法を「始めたい」「続けたい」と思った人たちに対して「どこでやっている」「どんな人たちがやっている」「どんなことをやっている」という情報を提供するためのサイト構築です。全所属がもれなく参加していただき、県全体で一体感を持った広報活動となるように取り組んでいこうと考えております。今後も、引き続き参加を要請していきます。そのためにもう一度ポイントをおさらいしておきます。まだ参加表明されていない所属は各所属内で検討していただくことを要請します。

ポイントは以下の5つです。

【① 愛知県内にある全ての所属を紹介する専門サイト構築を目指します】

  メインサイトを道院・支部紹介の専門サイトとして構築します。

  イメージは、飲食店紹介サイト「ぐるなび」のような使い勝手を考えています。

  少林寺拳法を始めたい、続けたいという人の

  「どこでやっているかわからない」

  「どんな人たちがやっているのかわからない」

  「どんなことをやっているのかわからない」

      の疑問に答えるサイトを目指しています。

   愛知県内にある道場の場所や活動内容が一目でわかるサイト構築を目指します。

【② 各所属のサイト作成を県教区・県連で代行します】

すでに自前のホームページを持っている所属もありますが、拳士・保護者からの要望があっても作成方法や費用の問題で手をつけることができない所属長も多いのではないでしょうか。そこで、各所属のサイト作成を県教区・県連が代行します。さらに、稼働後の基本的なサイト管理・運営についても面倒な手続きは全て県教区・県連で行います。

※作成のために写真と所属の基本情報・紹介文を準備していただきます。(書式あり)

※サイト稼働後にしていただくことは、「日記」「記事」を投稿するだけです。

【③ 各所属の年間管理費・運営費は不要です】

各所属のサイトを運営するのにかかるサーバーの管理費・運営費などの費用は県教区・県連で負担します。

【④ 各所属の活動内容は、自動的に県教区・県連のポータルサイトに反映されます】

各所属のサイトは一つ一つ完全に独立したサイトとして稼働しますが、そこで書かれた日記や記事が自動的に県教区・県連のポータルサイトに表示されます。この日記・記事の自動集約機能によって県教区・県連のポータルサイトを見に行くだけで各所属の活動内容が一目でわかるようになり、参加する所属の数が増えれば増えるほどこのポータルサイトを見に来る一般の方や拳士の数が飛躍的に増えることを目指します。

【⑤ 県教区・県連のポータルサイトを活用して個別PRを考えています】

「注目の道院・支部」としてポータルサイトの目立つ位置に紹介していくといった個別PRの手法も取り入れていきます。

 

◆◆◆ 目的達成のために ◆◆◆

 ポータルサイトとして機能させていくためには単に所属情報が掲載されているだけでは目的の半分も達成できません。ポータルサイト構築の目的は、『個々の道院・支部の活動内容を広く面で共有する』ことであるため、自前サイトを持つことになった道院・支部はどなたが更新してもかまわないので、「何かしらの記事・日記をある程度定期的にアップする」ことが非常に重要になります。携帯・スマホでメールを送ることができる、撮った写真を送ることができればサイトの更新は十分できると判断しています。県内所属が一体となって「活動の見える化」に取り組んでいくことが組織の活性化、現状の打開につながると確信しています。

 

  愛知県連盟ポータルサイト  https://shorinji-aichi.jp/wp/kenren/                 当サイトアドレス

   愛知県教区ポータルサイト  https://shorinji-aichi.jp/wp/kyouku/

再拝

2016 年 10月 16日

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9月 理事長通信

合掌

“正直者が馬鹿を見ない世の中を作る”ことは、開祖が私たちに示された“理想境建設”を端的に表した言葉の一つです。一方、“悪賢いものがずるく立ち回って得をする世の中を作る“ことは、「全ての」とは言いませんが、この国の政治家が示すところなのでしょう(?)と言わざるを得ないような事象が後を絶ちません。国会議員から地方議員に至るまでよくぞここまで私利私欲を優先させる不祥事・疑惑が出てくるものだと、連日の報道に私たちはただただ呆れるしかありません。”ドミノ倒し“のように富山市議の辞任が続く政務活動費の不正受領問題については依然として拡大報道がなされていますが、”号泣県議“としてまだまだ記憶に新しい野々村・前兵庫県議のケース発覚後も『他山の石』とされることなく、襟を正すこともなく、継続されてきたことになります。甘利・前経再相のURとの土地補償交渉をめぐる現金授受問題しかり、舛添・前東京都知事の公私混同問題しかりですが、真相が徹底解明されることなくいつの間にか過去のこととなってしまっていることに、私たちはあまりにも慣らされてしまっているように思います。

一昨日の26日に臨時国会が召集されました。経済政策をはじめ政権が取り組むべき課題が山積している中で、安倍首相は所信表明演説では憲法改正についての議論が深まることに期待感を示しました。改正しなければ、国民の平穏な暮らしが著しく脅かされる恐れがあり、改正を求める声が国民から湧き上っているわけでもない状況において・・・です。国民にとっての喫緊の課題ではなく、「自ら目指す首相としての”歴史的業績“を優先させている」との論評もあるように、予想通り改憲に向けてまた一歩踏み込んだ姿勢を明らかにしました。

さて、先週末の24・25日、愛知県武道館において日本武道館との共催行事「地域社会指導者研修会」を開催しました。講師は一昨年に引き続き岡山県から田原正晴先生をお招きし、今回は高校生や大学生の受講者が多かったこともあって級拳士科目を中心に二日間にわたってご指導いただきました。受講後のアンケートでは皆さんからたくさんの好評をいただくことができました。その中でも特に多かったのが、“技”の成り立ちについての説明に関する感想でした。一つの技が、いつ、どんな経緯でできたのか?なぜその動きでなければならないのか?といった背景を伴ったご指導は、本当に興味深いものでした。「初めて知った」、「今まで聞いたことがなかった」、「教わったことなかった」といった感想がたくさん寄せられました。護身の技術ですから“攻撃に対する返し技”という関係においては全て理屈があり、必要性のある動きを伴ってはじめて成立します。普段の修練で画一的に何気なく掛け合っている技には実は一つとして同じ条件設定はないのだということです。攻者・守者のその時々の状況変化によって技が変化するということを痛烈に認識させられましたし、護身術として求められる精度の高さや厳しさを御年77歳とはとても思えない田原先生の動きから学ぶことができました。面授面受とされる技術伝授の世界では、授ける側の資質が大きく問われるということをあらためて思い知る機会となりました。常に現状に満足することなく自身を進化させることの厳しさと尊さについても教えていただきました。“技”から“教え”、“教え”から“技”へと、全て生き方に通じるところが少林寺拳法の真髄だと思います。単なる技術のやり取りに終わることなく深化させていくことが“生涯修行”の在り方と言えます。受講者の皆さんが、自分自身を振り返る良い機会となったことに主催者側として安堵すると同時に、今後も活性化に向けた取組みを継続していきたいと思います。

愛知県教区ポータルサイトに続いて愛知県連盟ポータルサイトも仮設置まで構築してきました。県連ホームページをリニューアルし、スポーツ少年団や高校連盟、東海学生連盟、東海実業団連盟を組み込んだサイトが今年度中に出来上がります。他府県と比較して格段に地元志向の強い愛知県だからこその特質を生かした取組みを展開していきます。引き続き、ご協力をお願いします。

 

再拝

2016 年 9月 28日

 

愛知県連盟広報からお知らせ

愛知県教区ホームページがリニューアルされているのをご存知ですか?

愛知県教区サイト   https://shorinji-aichi.jp/wp/kyouku

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8月 理事長通信

合掌
205の国と地域が参加した“Rio2016オリンピック”が、世界に多くの感動を与えて閉幕しました。舛添前東京都知事が執着を見せた次期開催国への「フラッグハンドオーバーセレモニー」は、雨の中、就任間もない小池百合子・東京都知事が着物姿で無事に務めました。リオ・オリンピックは開催前から運営面と政治情勢の不安から開催が危ぶまれていましたが、何とか無事に終えられたことで関係者もホッとしているところでしょう。特に、日本選手団の活躍も見事で、閉会式での次期開催地としてのパフォーマンスもネット上では高評価を得て絶賛されるなど、2020年の東京開催に向けて弾みがついたのではないでしょうか。ふと気がつけば、連日酷暑に見舞われている日本列島も暦の上ではすでに秋。ほぼ同時進行だったオリンピックと夏の甲子園が閉幕して、気持ち的には一気に夏の終わりを感じます。一方、わが財団の行事も7月最終週にインターハイ、8月第1週には少年少女錬成大会、第2週には全国中学生大会と、夏休みにしかできない行事が続きました。加えて県教区研修会に道院合宿と、自分自身が体感する時間経過は一週間単位なので余計に気忙しく感じられます。社会に目を向けてみても、東京都知事選、イチローの3000本安打、広島・長崎の原爆の日、天皇の「生前退位」に関するご意向表明等々、世の中の目まぐるしい移り変わりに対して“理事長通信8月号”も何度かの書き換えを余儀なくされ、ようやくここに至っています。
さて、2018年度から小・中学校の「道徳」の時間は順次、正式教科に格上げ(特別教科化)されていきます(小学校は2018年度、中学校は2019年度)。現在、年間35単位時間の道徳教育が行われていますが、学校や先生によって指導内容や指導方法に差があると言われています。格上げ後は先生が検定教科書を使って授業を行い、他と較べることなくそれぞれの子供の成長を評価していくことになります。情意や信念、態度、行動等を含め人格を形成する道徳性はどうすれば養われていくのかという指導する側の課題がある中で、ある意味では数値化が最も難しいとされる情意性をどう判断していくのでしょう。先生の評価として果たして公平性が担保されるのでしょうか?そもそも“心”を評価できるのでしょうか?先生は生徒一人ひとりと分け隔てなく信頼関係を築くことが可能なのでしょうか?・・・等々、実施に対しての疑問は尽きません。企業における社員の人事考課で重要項目として挙げられるのが、成果や業績に関する「業績考課」、知識や能力に関する「能力考課」、そして、行動や態度に関する「情意考課」です。業績や能力は判断材料が具体的なのに対し、“情意”については評価が大きく分かれる場合があります。評価する側の“好き嫌い”も判断材料として含まれてくるからです。授業中に子供がその場の空気を読んだり、先生の顔色をうかがうようなことになれば真の評価は下されません。同じ尺度で測ることができない、むしろ測るべき対象ではないと思っています。道徳の教科化論議は、大津市での“いじめ自殺”を契機に加速したと言われます。子供の道徳性の欠如にその原因を求めるのではなく、結びつきが薄くなった地域、経済格差が広がる社会環境の変化、国会議員をはじめとした政治家の相も変らぬ金銭疑惑等々、現在社会にはびこる不道徳な環境の改善こそが優先されるべき課題なのではないでしょうか。“不登校”や“いじめ”問題に対し、私たちの地道な取組が果たせる役割があると確信しています。子供たちにとっての“居場所つくり”は、傷ついた羽を休めて力を蓄える場所となります。そんな活動を目指し続けなければなりません。
再拝
2016 年 8月 28日
愛知県連盟理事長 多月 文博

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7月 理事長通信

合掌
18歳選挙権が導入されてはじめての国政選挙である第24回参議院選挙。終わってみれば自民党、公明党の与党が勝敗ラインに掲げた改選過半数を大幅に上回る議席を確保し、憲法改正に前向きな勢力は改憲の発議を可能にする衆参両院の3分の2を占める結果となりました投票率は過去4番目に低い54.7%。しかし、注目された18・19歳の投票率はそれを下回る45.45%と報じられました。真っ先に勝因に挙げられるのは安倍首相の周到な戦略であるというのを選挙総括でもよく目にしました。有権者の負担回避を名目に消費増税を2年半延期し、改憲論議を封印することで見事に「争点つぶし」を行い、あわせてイギリスのEU離脱や東京都知事選等々のニュースもあって参院選への関心がいま一つ高まらなかったことも有利に働いたともいえるでしょう。つまり、与野党の“争点がかみ合わない”選挙となったことが“周到な選挙戦略”であったと言われる所以でしょう。しかし、局所的に見れば1人区で11人の野党統一候補が当選、基地問題で揺れる沖縄では現職の閣僚(島尻沖縄北方担当相)が破れ、福島第一原発事故が今なお暗い影を落とす福島選挙区でも同じく閣僚の岩城法相が落選と、特に東北6選挙区で5選挙区を与党が落すという“惨敗”結果も見られました。こと東北においては巧みに争点をぼかそうとした与党の足元を見透かしたように政権に対して懐疑的な反応が示されたと言えます。都合の悪いことには “ダンマリ”を決め込みひたすら時が過ぎるのを待つ。甘利前経済再生相といい舛添前東京都知事といい、恥ずかしい話ですが政治家の常套手段と言われても仕方ないくらい無責任な対応が続いています。
さて、愛知県教区のポータルサイトを見ていただけていますか? 愛知県内において少林寺拳法を「始めたい」「続けたい」と思った人たちに対し、「どこでやっている」「どんな人たちがやっている」「どんなことをやっている」という情報を提供するために構築した専門サイトです。現在、80道院を超す賛同を得て、県内の各道院サイトが順次立ち上がっており、各道院のブログもそれぞれ独自色を出して動かしつつあります。これまでは道院・支部の近所、口コミでしか増やすことができなかったのが、「勤務先の近く」「通学の圏内」「週末利用」「近い世代がいる」「女性が多い」「高齢者でも取り組める」「駅から近い」「学校の近く」等々、ポータルサイトから得られる情報をもとに、様々な「自分に合った条件」に適う道院を比較検討しながら探せるようになったという感想や、より自分に合った道院に出会えることで、転籍を経て休眠拳士や去っていく拳士を引き留める効果も狙っています。組織の区別化を図るために昨年度は愛知県教区サイトを優先的に立ち上げ、今年度は県連サイトの構築を進めています。ここにはスポーツ少年団、高校・大学、実業団の各支部サイトを立ち上げていただきます。サイトの作成については県連が全面的にバックアップすると共に維持費についても県連で負担していきます。将来的には武専を含めた“愛知県少林寺拳法グループ”サイト構築に向けて進めていきます。そのためにも是非、現時点で稼働している愛知県教区サイトをご覧になって将来像をイメージしていただきたいと思います。
創始70周年を来年に控え、組織としても大きな節目を迎えています。愛知県内のこれまで組織の発展に尽力されてきた先生方にとっても同様です。年齢や健康面の不安等から世代交代を検討されているところもあります。開祖の志や思いが世代を超えて脈々と引き継がれていくように今を生きる私たちは役割を果たしていかなければなりません。そのためにも今できる取り組みを皆さん方に示し、議論し、方向性を定めて推進していきます。引き続きご協力をお願いします。

再拝
2016 年 7月 21日
愛知県連盟理事長 多月 文博

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6月No.02 理事長通信

合掌
仕事柄、毎日朝夕新聞各紙に目を通すのですが、部外役員として長年にわたって県連活動をサポートしていただいている小山会長が常任顧問を務められている中日新聞社の記事や論調がしっくりとくるので愛読しています。ご覧になった方も多いと思いますが、6月15日付朝刊にこんな記事が掲載されていましたのでご紹介しておきます。    (以下、抜粋)

<気をつけよう、暗い言葉と甘い道>。うん?と目を留めた方は注意深い方である。
▼安全標語の「甘い言葉と暗い道」とはちょっと違う。思想家の内田樹さんはこの「暗い言葉」の方を自らを戒める標語としているそうだ。▼社会は一向に良くならぬ。「ろくでもない世界」の中で自分の周囲に「気分のいい世界」をこしらえれば、いつかは別の「気分のいい世界」「気分のいいやつら」と出会い、拡大していく。遠回りしているように見えても結局、それが公正で人間的な社会につながるという考え方。したがって、「『暗い言葉』を語る人間にはついていかない方がいい」(『邪悪なものの鎮め方』)と書いている。
※記事はこの後も続きますが、政治的な内容であるためここでは控えます。
興味のある方は、『中日春秋(6月15日付朝刊)』をお読みください。

来年、創始70周年を迎える我が組織ですが、開祖が目指されたものは「人づくりによる国づくり」です。まずは自分が変わることを決意し、そして少しずつ周囲に影響を及ぼすことができるように変わり続けることを目指す。人が人を呼び、縁が縁を繋いで「気分のいいやつらと気分のいい空間」が出来上がる。遅々とした歩みであっても、遠回りであっても確実に「気分のいい世界」を拡げていこうという取組みが私たちの原点です。人が他人を思いあうという当たり前のことが当たり前でなくなってしまっている中で、私たちは原点を見失わないようにしていかなければなりません。
去る6月12日(日)、県連行事としては最大イベントの県大会を今年も無事に開催することができました。出場拳士をはじめ支えていただいた保護者の皆様や関係者各位に心より感謝申し上げます。三年ぶりに宗 由貴・少林寺拳法グループ総裁にもご臨席いただいた今大会の参加拳士は昨年とほぼ同じ千二百数十名。早朝より県内各地からご参集いただきました。開会式で“君が代”が流れないハプニング、アナウンスが本部席正面側(体育館南側)では全く聞こえないという施設側設備の不備もあって、大変ご迷惑をおかけしてしまいました。6月1日付理事長通信でも書きましたが、『数カ月かけて準備し、十分な検討を経て実施しますが、残念ながら満足できたことは本当に数えるほどしかありません。十分に準備したつもりでも、なかなか思い描いたようにはいかないということです』のとおりになってしまいました。
今大会では、「開会式が長すぎて、誰のための大会かわからない」という毎年のご批判に対し、大会相談役や名誉委員の皆様方には大変失礼な一括でのご紹介方法も取らせていただきました。大変申し訳なく思っております。事前作業の中では毎年直前まで対応に苦慮している参加資格のチェックですが、今回も手続き未了者の扱いについて苦渋の決断もさせていただきました。審判技術の向上を目指して毎月のように研修会や説明会を行ってきましたが、演武構成や演武時間についての問題も発生しました。二週間前に開催された西三河大会でも審判員の判断として問題提起された内容であったため、いずれも前号の理事長通信にて注意を呼びかけたつもりだったのですが。写真撮影についても係員以外はアリーナ内で禁止させていただく代わりに専門業者の方々に手厚く対応していただいてきましたが、出場拳士がスマホで撮影している姿に対し、厳しい声も届きました。毎年、大会終了後に様々なご意見が実行委員会に寄せられます。是々非々の対応、再発防止に努めているわけですが、各々が“ルールを守る”“役割を果たす”ということからいえば“個”の対応に尽きると思います。大会をはじめとした行事開催に限らず、“公正で人間的な社会”を実現するために70年前に創始された開祖の“思い”を継承する私たちが常に心しておかなければならないことです。
県大会開催にあたり、所属長各位をはじめたくさんの方々からのお力添えをいただきました。心より感謝申し上げます。アトラクションチームの呼びかけに応えるかたちで会場がひとつになったように、これからもより以上に県内の結束を高めていきたいと思います。引き続き、ご協力をお願いします。ありがとうございました。
再拝
2016 年 6月 15日
愛知県連盟理事長 多月 文博

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6月No.01 理事長通信

合掌

夏に大阪府守口市で開催される全国中学生大会選考会と秋に大分県別府市で開催される全国大会小学生の部選考会を5月22日(日)に実施した後、5月28日(土)には夏に岡山県で開催される全国高校総体予選を兼ねた愛知県高校総体、そして5月29日(日)には第19回西三河大会の開催と、選考会や大会が続いています。6月5日(日)には東海学生大会立合評価法出場資格となる事前選考会および研修会、6月12日(日)には愛知県大会を、そして6月19日(日)には第52回東海学生大会へと続いていきます。一年の中でも最も行事が集中するのがこの時期です。県大会での約80人の審判員をはじめ、大会規模にもよりますが、毎週のように審判をお願いしている数十人の先生方と会場で顔を合わすことになります。各所属での指導に加えて大会審判や運営、そして毎月の昇格考試員にと、様々な行事を支えていただくまさに“休む暇のない”所属長・幹部拳士の方々に対し、あらためて心より感謝申し上げます。また、出場拳士たちのために早朝からの送迎や観覧を通して私たちの活動にご理解ご協力いただいている保護者や関係者各位に対しても深く感謝申し上げます。

さて、大会に限らず行事開催には様々な役割分担が欠かせません。成否は各々に課せられた役割分担をどれだけきちんと果たすかにかかっているといっても過言ではありません。もちろん規模の大小にかかわらず、実行委員会の中で十分に議論・検討したうえで総意をもって事に当たり、与えられた全ての役割を果たすことができれば自ずと結果にも結びついていきます。毎年同じように開催している県連行事であってもこれは例外ではなく、やはり協議・検討を欠かすことはできませんし、数か月かけて準備し、十分な検討を経て実施しますが、残念ながら満足できたことは本当に数えるほどしかありません。十分に準備したつもりでも、なかなか思い描いたようにはいかないということです。私には過去に痛恨の極みともいうべき苦い思い出があります。もう12年前になってしまいましたが、2004年にナゴヤドームで全国大会を開催しました。当時、県連事務局長を務めていた私は全国大会事務局長も兼任し、まさに不眠不休の一年間を経験したことがあります。三年間かけて検討を重ね、その年の県大会をナゴヤドームで開催してまで問題点を洗い出し、そして本番に臨みました。27,000人が固唾をのんで見守る開会式。国歌吹奏の場面で“君が代”が流れませんでした。折しも、世間では「国旗・国家」が議論されていた時でしたので、予定通りの進行内容であったがごとく堂々とその場をやり過ごしましたが、痛恨の大失態でした。“失敗は成功の源”と言われます。上手くいかなかったことからの方が沢山のことを学ぶことができるということでしょうが、失敗は無いにこしたことがありません。特に、部外者(来賓等)が関係することではミスは許されません。いろんな事情があってもリスクは可能な限り減らして運営したいものです。特に、歴史のある大きな行事は波及効果も大きく、主催地区の活性化につながるものであってほしいと願っています。準備段階ではいろいろあっても私たちの取組は皆が同じ方向を向いているものと確信しています。終わった後はきちんと総括し、修正し、より団結力を強めて再スタートが切られなければなりません。

いよいよ今年の県大会が迫ってきました。審判員の出欠状況が直前まで変わるのは例年通りですが、担当者にとっては本当に頭の痛いことです。大会出場資格となる財団個人会員の手続き未了者についても連日にわたって事務局が本部データーとの照合作業を繰り返しています。申込時の拳士コードや拳士名の漢字間違いがこの照合作業に大きく影響を及ぼしています。それぞれが役割をきちんと果たすことが運営の円滑化に直結するという教訓を今更ながら痛感しています。西三河大会では種目によって演武時間がクリアできていなかったり、演武構成の不備も指摘されました。ここでも、役割分担の徹底が問われます。より完成度の高い行事開催となるよう、引き続きご協力をお願いします。

再拝

2016 年 6月 1日

愛知県連盟理事長 多月 文博

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5月 理事長通信

合掌

専門家に「常識が通じない」と言わしめた地震が依然として九州を揺さぶっています。4月14日午後9時26分に発生した最大震度7、M6.5の地震が本震ではなく実は前震で、同16日深夜1時25分に発生したM7.3の地震が余震ではなく本震だったと・・・。終息を期待しながら余震を警戒していた次の夜に発生したのが実は本震だったことで、被災された方々の恐怖感はいかばかりか計り知れないものがあります。留まる気配なく続発する余震、崩落した山、寸断された道路。“自然の猛威は人知を超える”と言われますが、大自然を前に人間の存在は何と無力で小さいものかと思い知らされます。東日本大震災発生から5年が過ぎ、いまだに原因究明が道半ばにも達していない福島第一原発事故も含めて未曾有の大災害が数年で風化していく現状に警鐘を鳴らすかのようなこの度の“熊本地震”なのではないでしょうか。地震の広がりは北東側へ進んでいますが、その延長線上には四国から近畿へと続く国内最大級の断層群「中央構造線断層帯」があり、さらなる波及も懸念されています。被災を免れた私たちは、この機会に大規模災害発生時の備えについてあらためてチェックしてみる必要があるのではないでしょうか。少しでも減災につながるように準備をしておくことこそ貴重な教訓を生かすことにほかなりません。混乱を極める現地対応、非常時の“想定外”を少しでも減らすためには経験の積み重ねしかありません。同じことを二度と繰り返さない心構えが問われているような気がします。被災されたすべての方々に対し、あらためて心からのお見舞いを申し上げるばかりです。各所属に対して義援金の拠出を呼びかけております。ご協力をお願いします。

さて、4月24日(日)に2016年度の県連定期総会(並びに県教区全体会議)が開催され、2015年度事業報告・収支報告、ならびに2016年度事業計画案・収支予算案を承認していただくことができました。事前質問に加え、昨年度から県連に委託された昇格考試(昇級・昇段・考試員講習会)の具体的な実施方法について率直な意見を出していただきました。県連に委託された昇格考試業務から得られる委託費収入をどう扱うかというところがポイントとなりました。結果的には、過去5年間の昇格考試受験者数の推移をもとにした執行部提案通り委託費収入は各支部・拳友会の会費・広告費の減額(5,000円)に反映させるとこととし、それに伴って必要となる支出削減策にもご協力いただくことになりました。ただ、支出削減策に対しては将来展望を含めて様々な意見を出していただきましたので、今月以降の実施状況を検証しながらより良い方法に落ち着けたいと考えています。定期総会・全体会議を通して例年にも増して所属長各位との率直な意見交換がなされたことに感謝申し上げると共に、この活動を次の世代にどう繋げていくのかという点でも意志を共有することができたように感じています。“愛知県ポータルサイト構築計画”の進捗に伴って徐々に成果も表れてきているとの報告もあります。少しずつでも前進することがこの組織の活性化に繋がっていきます。

 

再拝

2016 年 5月 5日

愛知県連盟理事長 多月 文博

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4月 理事長通信

合掌

集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が3月29日に施行されました。戦後日本が維持してきた「専守防衛」の政策を、時の政権が唱える「積極的平和主義」の名のもとに昨年9月の通常国会で採決を強行して成立させたことはまだ記憶に新しいところです。安全保障関連法は、集団的自衛権行使を認める改正武力攻撃事態法など10法を束ねた一括法「平和安全法制整備法」と自衛隊をいつでも海外に派遣できる恒久法「国際平和支援法」の2本からなります。日本が直接武力攻撃されなくても自衛隊の武力行使が可能となり、自衛隊が戦争中の他国軍を後方支援できる範囲も格段に広がりました。しかし、安全保障環境の悪化を挙げて強行採決までして法成立を急いだのに、ここにきて同法に基づく自衛隊への新たな任務の付与は夏以降に先送りされることになっています。世論の反対が強い中での適用が今夏の参院選に影響するとの考えのようです。振り返ってみれば、特定秘密保護法の強行採決、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」の閣議決定に加えて沖縄の米軍基地移転問題や朝日新聞に対する一連のバッシング、“電波停止”発言をはじめとする言論弾圧ともとられかねない政権の特定報道番組への介入等々、とにかく強権政治がまかり通っているとしか言いようのない状況が続いています。一方、4月1日から始まった電力自由化ですが、発生から5年が経過した東京電力福島第一原発事故の処理費用の多くが電気料金や税金で贖われているということに私たちは意外と気付かされていません。現時点でも総額が12兆円を超えるとされている事故処理費用のツケ回しの実態が国民には見えにくくなっているということです。原子力損害賠償法は事故を起こした事業者が賠償責任を負うと定められています。制度上は東電が負担しているかのように見えますが、実態は巨額の賠償金を自前で払いきれない東電は国からの資金交付を受け、建前上は国に返済しなければならない。被害者への賠償費用は東電に加えて原発を抱える全国の電力会社が電気料金に上乗せするなどして少しずつ返済しているという仕組みです。除染費用は、政府が1兆円の税金を投じて作った原子力損害賠償・廃炉等支援機構が保有する東電株の将来の売却益で返済するとのこと。除染土等放射能汚染物質の中間貯蔵施設の費用に至っては約30年間にわたって年350億円ずつ税金が投じられるということです。どれもこれも本来は国民に還元されるはずの利益ですが、どれもこれも国民に対する“説明責任を果たす”ということが軽んじられていると言えます。原発再稼働に関する住民訴訟への司法判断も分かれています。やはり、事故原因が究明・特定されないでいることが全てに影響を及ぼしていると言えます。

 さて、月が替わって2016年度が始まりました。新井庸弘前財団会長の後を受けて川島一浩新会長の手腕に期待が集まります。長年にわたって新井前会長を支えてこられた荒井振興普及部長もWSKO事務次長に異動となりました。組織の永続性を図るためには世代交代は欠かせません。前後を含めるとほぼ6年間に及ぶ組織機構改革を経てグループ内の環境整備が完了したとされる今、活性化に向けて地方組織が果たす役割が問われます。昨年の9月以降、愛知県内全所属のポータルサイト構築を目指した計画が進行中です。先月には、県内所属の大半を占める道院について“愛知県教区”サイトを先行して立上げ、現時点で43道院のサイトが立ち上がっています。先日行われた所属長会議には、この計画のお手本となった大阪府教区からIT推進委員長の北野先生(大阪高槻道院長)にお越しいただき、この取り組みの目的や可能性についてお話していただきました。組織を活性化させるためには個々の所属の活性化が欠かせません。そして、そのためには所属長を中心に拳士・保護者を巻き込んだ取り組みが必要不可欠です。何よりも、組織機構改革を何とか凌いできた愛知県のスケールメリットを生かすためにも全所属の結集が必要です。愛知県連盟・愛知県教区・愛知武専を一体化したサイト構築により、“少林寺拳法”を検索ワード入力したときに“shorinji-aichi.jp”が一番にヒットする・・・。そんな取組みを今年は加速していきたいと考えています。今月24日には定期総会・全体会議が開催されます。昨年度愛知県で2回開催した“部長・監督資格認定研修会”を受講していただいた16名の拳士による支部新設の支援、秋に開催される大分県での全国大会派遣拳士のための支援についても提案させていただきました。会費・広告費の減額提案に対する事前質問も寄せられているようです。執行部提案に対して忌憚のない議論を交わし、しっかりと説明責任を果たしたうえで今年度も県連運営に努めてまいります。

引き続きご協力をお願いします。

 

再拝

2016 年 4月 7日

愛知県連盟理事長 多月 文博

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